2022年8月も終盤へ向けて進んでいますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか?
私の8月は、ひっさびさに「怒り」の月となりました(笑)。気持ちいいくらいに怒りが出てきたので、今や気分爽快、前進する気持ちもフレッシュになっているところです。
皆さんは「怒り」を悪い感情だとお思いですか?
そうでない方もいらっしゃるかとは思いますが、私自身、怒りは前進するために絶対必要な感情だと考えています。
2014年に青色ダイオードでノーベル賞を獲得した中村教授が、かつて「日本の司法は腐ってる!」と言い放ち、激怒しながらアメリカへ移住してしまったことは有名な話です。
青色ダイオードの発明を巡って以前の雇用主を提訴して、200億円とも8億円ともいわれる和解金を巡って争ったのですよね。
日本人でノーベル賞を受賞した人の多くは、日本ではなく外国へ移住している人が多いです。その理由は、「出る杭は打たれる」文化である日本にいると自分が潰されてしまうから。
日本の文化の中では、天才は自分の才能を発揮できる余地がないので、あえてアメリカなどの自由な文化がある国へ移住してしまう。そして、移住先の大学に勤めて、外国の学生たちが彼らの講義を受けて恩恵を被るという、なんとも理不尽な状況が繰り広げられている訳です。
日本の才能なのに、日本に貢献せずに外国に貢献させることに甘んじているのだから、日本という国の不甲斐なさには今更呆れることもできません。
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話が横に逸れましたが、その中村教授がノーベル賞受賞のインタビューでの質疑応答がこちら。
記者:「I’m just wondering what sort of motivation you have when you are working on your projects. (研究を行う際に、どんなことが原動力(モチベーション)になっているのか、お聞かせください)」
中村教授:「アンガー!(怒り)」
中村教授は、「自分の原動力は怒りです」と言い切ったんですね。
怒りは、人類を前進させる原動力であると、私も思います。
黒人の人たちが今ある人権を手にできた原動力は、怒りでした。「なぜ自分たちが奴隷として扱われなくてはならないのか」。その理不尽さに「耐える」必要はどこにもなく、怒りを感じるのがしごく当然と言えるでしょう。
怒りの用い方
ただし、「怒り」には使い方があって、怒りをぶちまけて暴動を起こしたり、相手を打ちのめして殺してしまったりしてはなりません。それだと「怒り」の力を発揮できなくなってしまう。
そうではなく、「怒り」を適切に用いて、「望む状態」を実現させる方向へと使うわけです。
中村教授は「日本へ対する怒り」を原動力にして研究に打ち込み、最終的にはノーベル賞を獲得しました。
研究者の地位の向上への貢献。
それが中村教授が怒りを原動力にして成し遂げた成果です。しかしそれが日本ではなく、アメリカにおいて成し遂げられたというだけ。
望みを叶える
例えば、自分の体力や能力に見合わない労働シフトを押し付けられて、それに耐えるように圧力をかけられている例は、日本においてはまだまだみられる現状です。
しかし多くの方は長時間労働や自分に無理をさせる働き方など望んではいないでしょう。
「他の人たちだってこのシフトでやっているんだから」と、同調圧力を持ち出されてシフトを強要されそうになったら、「それと私と何の関係が?私の心身の健やかさを管理するのは私の責任です。そのシフトは許容できません」と、真顔で言えばいいだけです。
申し訳なさそうに言ったり、反抗的に言ったりするのではなく。
それであぁだこうだ言ってくる職場であれば、労働基準監督署に通報すればいいだけです。
でも、そんな簡単なことすら「できない」と思い込んでいる日本人が多すぎます。
境界線をしっかりと引く
怒りを感じるときは、ほぼ間違いなく自分の境界線が侵害されているときです。
- 自分が必要なものを得ていない
- 自分が要らないものを押し付けられている
このどちらかなんです。
だから、自分の快不快にとことんまで正直になって、言う必要があることはしっかりと言わなくてはなりません。
それが出来るようになって初めて、他者の境界線を尊重することも学べるわけです。
怒りは境界線の場所を示す重要な感情で、怒りに蓋をしてなかったことにしている限り、健全な境界線を引くことはほぼ不可能です。
境界線をしっかりと引いて、境界線が侵害されたときに感じる怒りを適切に用いて自分が望むことを実現する、そして他者の境界線を尊重することを学ぶ。
それが怒りに関して日本の人たちが取り組む必要がある統合課題であると、私は考えています。
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