心理学用語に「投影」という言葉があります。
投影とは、自分の一部(要素)であるにも関わらず、「これが自分である」と認めていない要素を外の世界の他者に映し出して見い出す現象。
投影対象に向けて強い拒絶感を示すか、あるいは抗えない魅力を感じるかという両極端な現れ方をする。
拒絶感を伴うものを「ネガティブ投影」、魅力を感じるものを「ポジティブ投影」と呼んで区別する。
(あくまでの私個人としての定義です)
この記事では、実際にネット上にあった例をシェアすることで、「投影」の例と原理を示し、「統合への道のり」を解説していきたいと思います。
目次
堀江貴文氏が投影された例
今回シェアしたいのはこちらの記事です:
かいつまんで内容を説明すると、堀江貴文氏は昔ある人から「お前はなぜそんなにお金が好きなのだ?!」と責められてとても困惑したという内容です。
芸能人始め有名な人たちは、世間の人たちの恰好の「投影対象」となります。
少し昔、講演イベントでこんなことがあった。お客さんとの質疑応答タイムになって、ある経営者の男性に食ってかかられた。「自分はお金のためには仕事をしていない」という。そして「お前は、どうしてそんなにお金が好きなんだ!?」と責められた。
いきなり敵意を向けられて戸惑ったけれど、せっかく質問してくれたお客さんだ。きちんと答えたいのだが、いくら考えても、質問の意味がわからなかった。
堀江貴文
質問者の男性は、何等かの経緯があって、「お金のために仕事をしてはいけない」と強く思い込むに至ったのです。
そして「お金を好きであってはならない」という思い込みも持っていらっしゃる。
「お金が好きで、お金のために仕事をする自分は愛されないし、世間から受け入れてもらえない」と、頑なに信じていらっしゃるわけです。
本当はお金が好きだけれど、そうであっては受け入れてもらえないので、「お金が好きな自分」を意識上で自分から切り離して抑圧してしまったわけです。
ですが、ご本人にはこの一連の心理的動きに対する自覚は皆無。
すると、潜在意識に抑圧された「お金が好きな自分」を外の世界の他者の上に「投影する」ということが起こります。
お金が好きとは、どういうことなんだろう? 僕は考えた末、こう答えた。「自分にとってお金は、爪切りと同じです。爪が伸びたら使います。必要なときに、持ち出す道具にすぎません。あなたは爪切りのことが好きですか? と聞かれたら、どうしますか?」そして「本当にお金が好きで、お金にとらわれているのは、あなたの方ではないのですか?」とつけ加えた。すると男性は芯を突かれたような顔をして、バツが悪そうに黙ってしまった。
堀江貴文
恐らくこの男性にとって堀江氏は、「お金が好きな自分」を投影するのに格好の相手だったということす。
実際に「堀江氏がお金が好きかどうか」はまるで関係ないわけで、つまりすべて「質問者」の内面世界の分裂が引き起こしている妄想の世界にすぎません。
自己否定による強い拒絶反応を投影の対象へ向ける
「質問者」は気づいていらっしゃいませんが、ご自身は自己否定がとても強い方です。
「お金が好きで、お金のために働く自分」では愛されない、受け入れてもらえないと信じているので、その自分を否定して「自責」を続けていらっしゃる。
その「自責」を、投影先である堀江氏に批判として向けているわけです。
「お前は、どうしてそんなにお金が好きなんだ!?」と責められた。いきなり敵意を向けられて戸惑った
堀江貴文
- 質問者が無意識のうちに責めているのは「お金が好きな自分」であるけれども
- その自覚がないので
- 必然的に「怒りと責め」は投影の対象である堀江氏に向かう
堀江氏に向けられた「怒りと責め」は、質問者が「お金が好きな自分」に対する怒りと責めを自覚したときに消滅します。
専門用語でこれを「own」(自分を引き受ける)と呼びます。
自分自身の問題を自覚して「自分が無意識のうちにしていること」を自分の責任において認めたとき、他者へ向かっていたマイナス感情は自然と霧消します。
もはや用がなくなるからです。
統合への道のり -受容-
質問者が分裂している自身の内面を統合し、全体性のある人格へと成長・進化するためには、ありのままの自分を認め、受け入れるところから始めなくてはなりません。
「お金持ちやお金が好きな人は受け容れてもらえない」という考えは、世間が勝手に創り出した都合の良い偏見にすぎません。
この世を生き抜くにために、お金は絶対に必要です。
90%以上の人がお金のために仕事をしていると言って差し支えないでしょう。
現代において「無料のもの」など何もないからです。
その事実を踏まえれば、この世を生きるためにお金が必要であることは明白です。
人間が「お金が好き」であることは自然なことで、やりたいことを思う存分できるために、生活を安定させるために、十分なお金を持ちたいと思うことは当然のことでしょう。
要は、その当たり前で自然な等身大の自分をありのままに受け容れられることが必要なわけです。
それができたとき、投影は止みます。
クローズドの情報や個別セッションの割引情報などは 無料メルマガ 内でお知らせします。
© 当サイトの文章およびロゴや商標の著作権は当サイトが所有しています。許可なく無断転載することを固く禁じます。