時々戴くご相談(?)というか愚痴?に、「税金払いたくない」「税金払うのがツライ」というものがあります。
私は日本で暮らすのが20数年ぶりなので、日本の税制度についてまったく慣れてなく、札幌で暮らし始めて驚いたことがあるんですが、北海道の住民税って半端なく高い!!!
てこと。
私が長年くらした香港には住民税はありませんし、払うのは所得税だけだったので、それと比べてしまうとやっぱり「えー!!」ていう感じはありました。
でも、税金がないと、私たちは暮らせて行けません。
この記事では、ざっと税金があるからこそ受けている「豊かさ」を振り返って、本当はどれくらい税金のお陰で自分にとって豊かな暮らしが実現しているのかを、改めて考えてみたいと思います。
税金を使って国は豊かさを実現する
税金は私たちが払っているお金で、それをプールして、必要なことに使っている訳ですよね。
例えば、私が生まれた頃はまだ下水道が整備されていなくて、自宅に「水洗トイレ」がある家庭はほとんどありませんでした。今からは信じられないかも知れませんが。
下水道を整備するって、自分一人の力だと結構難しい。お金のみならず業者とか周り近所との調整とか、もろもろ入って来てなかなか個人では出来かねる案件です。
そういうところこを、行政や国が入って、「国民がより快適に暮らせるようになるために」インフラを整備していった結果、今のような快適かつ安全な生活が実現できているわけです。
そういう事業の為の資金を賄うために、税金を投入しているわけです。
- 国道、県道、町道など
- 線路や電車などのインフラ
- 路地に植えてある木や花
- 上下水道
- ゴミの回収やもろもろ
- 家まで電気が通っていること
- コンサートホールやイベント場など
- コロナのワクチン
などなど。
今はコロナの関係でもっと様々なものに税金が投入されています。そういうものがないと、日本の人たちの生活は「豊かさ」を実感できるものにはならないわけです。
普段何気なく目にしている花壇や並木、街路樹。そういうのに一体どれくらい税金が投入されているかなぁ?と、いつも思っています。
ネパールやインドでは頻繁に停電が起こりますし、各家庭にトイレがないことが多い。まだインフラが整っていないんです。そういう状態で、豊かさを実感するのはなかなか難しいです。
上下水道を整備したり、必要な数だけ電柱を立てたり、アスファルトをしいて道路整備したり、毎日出る大量のゴミを回収してもらったり、それは「当たり前」のことではなくて、日本が今までそういうところに税金を投入してきたからこそ実現していること。
つまり、国民の力を結集して実現している豊かさなわけです。
目に見えない心の豊かさ

最近私は、日本の各省庁が共催している「交歓コンサート」というものへ行きました。
日本の各省庁が資金を出し合って、日本の人たちに一流の音楽を楽しむ場を提供するために、昔から継続して行っているコンサートだそうです。
こういう資金にも、もちろん税金が投入されています。
札幌には素晴らしいコンサートホールがあって、そこに海外から音楽家の人たちが来て、ピアノやバイオリン、チェロや歌などを披露してくださったわけです。
料金は無料。
だからと言ってすべてが無償で用意されたのかと言えばもちろんそうではなく、コンサートホールのデザインから建築・施工費用は億単位だろうし、各国から音楽家の人たちを招聘するための飛行機代や滞在費もろもろ。そういう場を用意するまでに、一体どれくらいの予算が投入されたのかと考えると気が遠くなるようです。
しかし私たち市民には一切の金銭的負担をかけずに、「どうぞいらして音楽を楽しんでください」という、実に粋な政府の計らいなわけです。
これは素晴らしく豊かなことだと、私は実感したんですね。
この情報はたまたま私の手元に来たもので、知らなければ行くことはなかったコンサートでした。800名様無料ご招待だったので、申し込みをしたら、チケットが郵送で送られてきました。
よく無償で提供されているサービスや情報、結婚式の引き出物など、自分が身銭を切らずに受け取った物は大事にしなかったり雑に扱ったりする人がいます。
「物やサービスの値段=価値」という刷り込みがある方たちでしょう。
けれど実際にはこの世に無償・無料のサービスや物はまずないわけで、間違いなく誰かや何かが資金を出して提供してくれているものです。
このブログもそうです。
情報は無償提供していますが、ドメイン代やサーバー代で年間費用はすべて私が持っているわけです。
同じように、市民に当たり前のように提供されている各種サービスやインフラも、政府や行政が税金から資金を捻出しているということ。
結局、豊かさってただ単に「お金」だけの話ではなく、どれくらい「内面に豊かさのアンテナ」を持っているかというところが大きいわけです。
- 情報に触れられる場所にいる(コネクションや環境)
- 情報が来た時に見逃さない感性と好奇心
- 申し込みをする行動力
- チケットが来る前からコンサートをスケジュール帳に書き入れている素直さ
- コンサートを心待ちにしてワクワクしながら日々を過ごす姿勢
こういうことを何も頑張らずに自然体でできて、しかもそれが当たり前になっていると、豊かさってどんどん増えて行くものなんです。
だからこそ税金に対する感じ方も変わる。
文化や教養を高めるにはお金がかかります。すべての人がお金を出してクラシック・コンサートに行けるわけではないですね。
オランダで行った国立美術館の内容は素晴らしく見ごたえもありましたが、入館料は一万円近くかかるわけです。
そうすると、「お金に余裕がある人だけ」が文化や教養を高められるのか、と言えば、決してそうではなく、日本政府の後押しで、日本各地で無料でクラシック・コンサートが開催されている訳です。
また、札幌市には今年オランダからフェルメールの絵画が何点か貸し出されて来た(北海道近代美術館へ)のですが、そういうところにも、政府や税金の力が投入されているわけです。
そのお陰で、札幌に居ながらにして、本来ならオランダに行かなければ鑑賞できない一流画家の名画を鑑賞できる機会がある。
それってめちゃくちゃ豊かなことだと、私は思うんです。
これは実は皇室のお陰というところが大きく、文化的交流とか、各国のビザ発行状況って、国同士の国交がどれくらい良好かにかなり依存しているんです。
ご存じの通り、オランダのハーグには長年雅子妃のお父様が裁判官として滞在していらっしゃいますし、日本の皇室とオランダ王室の縁は深いんです。だからこそ、このような文化交流が行える基盤がある。
それから、25歳のとき、オランダ人の連れと二人でヨルダンへ入国した時、日本のパスポートを持っている私はビザなしで入国できたのに、オランダのパスポートだった連れはビザにお金を払わないと入国できないという出来事がありました。
理由は、ヨルダンと日本のロイヤルファミリーが仲良くて、外交が極めて良好に保たれているから。
普段私たちの知らないところで、こういうところに影響が出てくるんですよね。
惜しむらくは、その情報に触れられる人と、そうでない人がいるということ。
これも、そういう情報をキャッチするレーダーやアンテナがどれくらい高く張れているかと、後はどんなところに豊かさを見出そうとしているかという、姿勢的な部分の問題だと思います。
ざっと見渡せば、税金のお陰で享受している豊かさは簡単に見つけられる。支払うのが嫌だと言っても、ツライと言っても、結局は自分たちのためには必要なことなわけです。
その視点から税金を見てみると、支払うときの気分が少し変わるかもしれません。
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