「自己防衛」と「自分を守る」言葉の意味の違い

巷では「自己防衛」という言葉が何気なく使われていますが、「自己防衛」と「自分を守る」とは根本的に意味が違います。

多くの人が抱える悩みや苦しみの多くは、「言葉の定義」がしっかりとできていないことに起因しています。

言葉の意味をしっかりと認識し、区別して使えるようになることで、大方の悩みや問題は消えてしまいます。

この記事では「自己防衛」と「自分を守る」言葉の意味の違いを説明していきたいと思います。

最初に簡単に言ってしまえば「自己防衛=エゴ」「自分を守る=本当の自分」ということです。

自己防衛とは

自己防衛とは、「自分と感情を切り離し、相手や他者を責めたり、相手から離れたりすることによって自分の痛みを感じなくても済むようにする」心理的メカニズムのことを指します。

「自己防衛」に走る人は自我がまだしっかりと確立されておらず、人格が未熟です。

恋愛を例にとってみます。

本気で誰かを好きになれば、自分の中に閉じ込められている「感情的痛み」を感じざるを得ません。なぜなら、人は誰しも親との関係を恋人と繰り返すからです。相手に心を許せば許すほど、親との関係の中で受けた心の傷が浮上してくるわけです。

自我が弱い人は、自分の心の痛みを感じることに耐えられず、心を閉ざし、相手から離れるという方法、もしくは逆に相手に自分を満たしてもらおうと、そうしてくれない相手を批判したり責めたりすることで自分を守ろうとします。

これが「自己防衛」です。

「自分を守る」とは

一方、自我がしっかりと確立されている人は、自分の心の痛みをしっかりと感じ切ることができます。

「痛み」を感じないという意味ではなくて、「痛み」を受け止めて感じ切る自分を自分で支えられるだけの強さを持っているという意味です。

自分の痛みを自分で受け止められるので、自己防衛する必要がありません。

「自分を守る」とは自我の健全な機能の一つで、この世を安全・安心・快適に生きていく上で大切な本能です。

危険な場所や人や団体へ近づかない、訳の分からない書類に署名しない、何かを決断する前によく考える、信頼関係を築けない相手とは付き合わない、自分に合わない仕事はしない、連帯保証人にならない、など。

すべて「自分を守る」範疇に入ります。

これは先に説明した「自己防衛」とはまったく質が異なることです。

自己防衛は「自分の痛みから逃げるために他者を傷つける」行為です。

一方「自分を守る」行為は誰も傷つけません。もしも「傷ついた」と言う人がいるのであれば、それこそその人が「自己防衛」をしているわけです。

例えば、「署名活動をしているからあなたにも是非協力して欲しい」と言われたとき、「申し訳ないが、自分は署名できない」と断った時、相手が「あなたは頼れる友達だと思っていたのに、、、」などと言って暗に責めてくるなら、それは相手が「自己防衛」しているということ。

自己防衛に走ってしまう原因と対策

自我が未熟なことが自己防衛へ走ってしまう最大の要因です。

自我が確立している人とは、「自分の痛み」を誰かや何かに転嫁することなく、自分で負うという覚悟を決めている人のことです。

相手と自分の間にしっかりと境界線を引き、相手の責任範疇と自分の責任範疇を明確に弁え、自分の責任を負うことに集中し、相手の責任は負わずに相手に任せるだけの分別を持つということ。

自我が成長した分だけ自己防衛的言動は減っていきます。

すべてを完璧に解決する必要はもともとありません。

理想の自分像を見据えながら、今この瞬間の等身大の自分でできることに集中するだけでいいのです。

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