以前からずっと私は一貫して「自分の声を上げること」の重要性(Have your voice.)を発信し続けています。一人ひとりが「声を上げること」でしか社会は変わっていかないと知っているからです。
多くの人は、マニュアルやルールや枠組みをしっかり整備することで社会は変わると思っています。ですが、それは言ってみれば子供のやり方です。
現実的にそういうやり方では、社会は変わりません。もちろんある程度の教育は必要ですが、社会とは教育やルールで「統率」できるものではないからです。
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自尊心・自己価値感の低さが根本要因
社会がいつまで経っても変わらない根本要因の一つは、私たち一人ひとりの自尊心と自己価値感の低さです。
自尊心と自己価値感が低いと、私たちは自分を粗末に扱ってしまいます。また、他者からも粗末に扱われることを許しそれに甘んじてしまいます。
これが社会がいつまでも変わらないことの要因です。
ブラック企業はいつまで経っても無くなりません。法や条例や社内マニュアル云々の問題ではなく、「そこで働いている人たちの自尊心と自己価値観の低さ」が原因だからです。
「こんな劣悪な職場では到底働けません!」と言って1か月以内に辞める人が続出すれば、企業は我が身を振りかえらざるを得ないでしょう。ですが、声を上げて現場を去る人はほんの少数で、多くの人はなんだかんだ言いつつも、劣悪な職場で働き続けることを選ぶのです。理由は先に述べた通り、自尊心と自己価値感が低いかほとんどないからです。
健全な自尊心と自己価値感がある人なら、自分を損なう可能性のある職場などにはいられません。さっさと見切りをつけて次を探し始めます。そうできない、こんな仕事でも失ってしまえば他は見つからないと思ってしまうところに、インナーチャイルドの傷が残っているのです。
どれほど劣悪でハラスメントが横行している職場でも、そこで働き続ける多くの人がいる限り、自らの企業体質を改善しようなどという殊勝な意欲は湧いてこないでしょう。そのような意識の目覚めが起こるのは、すべての従業員が「やってられっか」と言って辞めてしまった時です。
世の中からブラック企業をなくしたかったら、法令や条例を整えるよりも先に、働く側が意識を変えて自尊心と自己価値感を高め、声を上げ続けることが必要です。

上に挙げたのは一つの例ですが、すべてについて同様のことが言えます。
私は昨日たまたま目にしたこの記事を読んで強い怒りを感じました。
時代に翻弄されて生活するすべを失い、藁をもすがる思いで行政の支援を仰ぐ市民に対し、この横柄さと怠慢さと不誠実さで対応されるなどはとても遺憾なことです。
被害者の女性はそれでも自尊心と自己価値感をお持ちでしたから NPO に助けを求め、そこで「声」を上げることができました。もしも彼女が自分の声を上げず泣き入りしていたら、いつまで経ってもこのようなあり得ない怠慢はなくならないのです。
こうした時に私たちが感じる怒りはとても健全なもので、決して無くしたり押し殺したりしてはならない感情なのです。
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本来怒りとは、
- 自分が必要とするものを与えられないとき
- 自分が要らないものを押し付けられているとき
つまり、境界線が侵害されているときに湧き上がる感情です。怒りが湧いてきたら、相手が何かしらの境界線を犯しているというサインです。そのサインをしっかりとキャッチして行動を起こすことでしか、本当の満足は得られません。
「感謝」とは、自分が必要としているものをしっかりと受け取ったときに自然と湧き上がるエネルギーで、「不満ばかり言っていないで与えられたものに感謝しなさい」と強要できるものではないのです。それは感謝ではなくて単なる「フリ」です。人間はごまかせてもエネルギーは嘘をつけません。
職場の環境が劣悪なら「こんな環境では働きたくない」と言う、別の職場を探す。誰かが自分を粗末に扱ってきたら「それは容認しません」と言う。自分を守るために、しっかり行動できることが大人なのです。自分を満たすためにはどうしたら良いのかを知ることが大切です。
自分の感覚に正直に、自分の本当の気持ちを声にして上げていくことでしか、社会の変化は推進されません。
今多くの人が声を上げ始めていますが、自分の生活の中にも一つや二つは必ず声を上げずに我慢していることが必ずあるはずです。まずは勇気をもって声を上げること、それができるようにインナーチャイルドを癒し、健全な自尊心と自己価値感を育てることが急務です。
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