誤解がないように初めに書いておきますが、「ありのままの他者を受け容れる」とは、「他者の問題行動や機能不全な言動に目を瞑ってうまく付き合う」という意味ではまったくありません。
ここをしっかりと抑えておかないと、自分や他者をいたずらに苦しめることになるますので、予めハッキリさせておきたいと思います。
「ありのままの他者を受け容れる」とは、すべての人間は道の途中である不完全な存在で、みながそれぞれ懸命に自分の道を歩いていることを理解し、そのありのままをありのままにしておける、という意味です。
例えば、私は普段の生活の中でいわゆる Z 世代と呼ばれる20~25歳の人たちと関わることが多いです。
彼らは100%機能不全で問題行動のオンパレードです。
10人いたら10人ともそうなんです。
仕方ないですよね、まだ人生が始まったばかりの人たちなのだから。
私たちは誰しも、幼少期に親との関わりの中で沢山傷つき、その傷をマルっと抱えたまま人生をスタートさせるわけです。
人間なら誰でもそうなんです。
そのことを百も承知しているので、彼らの問題行動を目の当りにしても「そうであるべきじゃない!!」なんて全く思いません。
「あぁ、傷を沢山抱えた人間として一生懸命生きようとしているんだな」と思うだけです。
しかしだからと言って、彼らの問題行動が自分に害を及ぼすのを容認するものではありません。
こちらに危害が及ばないように適度な距離をとりつつ、場合によっては「付き合わない」ことを選択しつつ、彼らの人間としての生きる道を末永く祝福し陰ながら健闘を祈る。
相手の在り方を否定しているわけではないんです。今この瞬間の彼らの在り方を受け容れつつ、付き合わない選択をすることは可能なのです。
それが「大人の処し方」というものです。
他者のありのままを受け容れられない
一方、他者の言動や問題行動が気になり、「そうであるべきではない!」と思ってしまう人は、ありのままの自分を受け入れられていない人です。
つまり、内面の分裂が激しい。
自分の中の受け容れられていない要素を他者の上に投影し、それを見て激怒しているだけ。
自分で自分を否定している度合いが高いけれども、それに対して自覚がない状態。
なぜそうなってしまったのかと言えば、自分の親(養育者)からありのままを受け容れてもらえず、否定されながら育ったからです。
多くの親御さんは、「自己肯定感が高い子供を育てたい」と仰って「どうすればいいですか?」と質問なさいます。
まずは、親御さんご自身が自分のありのままを100%受け容れることが必要です。
それができなければ、他の誰のありのままも受け容れることはできないからです。
- 好き嫌いがあってはならない
- 誰とでもうまくやらなくてはならない
- 社会に適応しなくてはならない
- 親に心配をかけてはならない
- 親孝行しなければならない
など。
こうした思い込みや制限を沢山持っていればいるほど、ありのままの自分を受け容れることはできなくなります。
- 好き嫌いがあるのは人間として当たり前のこと、直す必要はない
- 嫌いな人とは一切付き合わなくていい
- 社会に適応する必要などない
- 過度に子供の心配をする親には問題がある
- 私は親孝行するために生きているわけではない
このように前提を書き換えて行かないことにには、ありのままの自分を受け容れるなんてできるわけがないんです。
本心は必ず伝わる
それから、多くの親御さんは「言葉に出して相手に言いさえしなければ大丈夫」と思い込んでいます。
けれど実際には、自分が心の奥底で思っていることは100%相手に伝わっています。
自分の息子に対して心の底で、「お姉ちゃんはもっとしっかりしているのに、なぜこの子は同じようにできないのかしら?」と思っていれば、どれほど口先で別のことを言っていようと、この思いは息子に筒抜けに伝わっています。
そうです、既成事実なんです。
なぜなら「心の奥底で思っていること=本心」が人生では具現化するからです。
自分を癒してすべてをありのままに受け容れること
ありのままの自分を受け容れられていない人は、他者を含む世界のありのままの受け容れられず、やれ政府が、やれ時世が、やれ環境がと、問題の責任を誰かや何かのせいにして、自分は被害者を演じ続けます。
まずは自分自身を受け入れるという肚を括って自分を癒さない限り、この地獄は消えてなくなりはしないんです。
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