「恐れではなく愛を選べ」という言葉の意味

10年ほど前から盛んに言われ始めた「恐れではなく愛を選べ」。

この言葉の真意は、なかなか腑に落としずらいものがあります。

この記事では、「恐れではなく、愛を選ぶ」とはどういうことなのかを説明していきます。

恐れベースの生き方

無意識で生きている間、私たちは恐れベースで生きています。

恐れベースで生きるとは、何か決断したり選択したりするときの動機が恐れに基づいているという意味です。

そうなってしまう要因は幼少期まで遡りますが、簡単に言ってしまえば「愛されたいから」です。

「愛されるために無意識に行う行動」は、人により様々違います。

幼少期に親から十分な愛情を受けずに育った場合、愛を得るために様々な機能不全の行動パターンを持っているものです。

気分屋で自己中心的な親に育てられた人は、常に他者の顔色を伺う行動パターンを持っていたりします。

「自分がどうしたいか(自分軸で自己愛)」ではなく、相手の気持ちを忖度したり推し量ったりして、相手に合わせて言動しています。

それほど彼らは他者からの愛に飢えていて、自分軸で言動して相手から嫌われるくらいなら、自分を犠牲にしてやり過ごした方がマシだと思っているのです。

結果、自分にとって不本意な状況でも我慢していたり、やりたくないことをやっていたりします。

ですが本人にとってはそれが普通なので、ストレスに対して無自覚なことが多いです。

これが恐れベースの生き方です。

恐れベースの生き方とは「愛されることを渇望する生き方」であり、「愛されるためには自分を犠牲にして相手に尽くさなければならない」という思い込みに根差した生き方のことです。

子供の頃親から優しくしてもらえたのは、自分を犠牲にして親に合わせていたときだけだからです。

自尊心と自己価値感

自尊心と自己価値感に問題がある人は、自分を粗末に扱う人を引き寄せます。

なぜだか問題のある相手とばかり恋愛をしたり、劣悪な職場ばかりを渡り歩いたりするのです。

世の中に完璧な何かなどはありませんから多少なりとも折り合いをつける必要はありますが、だからと言って自分にとって害となるような関係に耐える必要はないのです。

ですが自己愛ベースではなくて恐れベースで生きているために、自分を大切にすることができません。

そしていつしか心は屈折し、気持ちは捻じれ、素直さを失っていきます。

健全な人であれば、問題を抱えた人とは恋愛をしたいとは思いません。

しかしインナーチャイルドが傷ついている場合、問題のある相手にばかり惹かれます。

相手の世話をすることで自分の居場所が確保するという行動パターンを持っているからです。

相手の世話をすれば愛してもらえると無意識のうちに信じているのです。

これを共依存と呼びます。

共依存は、問題のある親に愛されるために「幼い頃の自分」が身に着けた「子供の処世術」です。

このことに気づいてインナーチャイルドを癒し、健全な自尊心と自己価値感を育まない限り、延々と機能不全な人間関係を繰り返すこととなります。

思い込みと刷り込み

ブラック企業ばかり渡りあるいている場合、なぜいつもそういう職場ばかりを選んでしまうのか、真剣に自問する必要があります。

上に述べたように自尊心と自己価値感の問題はもちろんありますが、それ以外に時代遅れの価値観や思い込みや刷り込みを持っている可能性が高いです。

  • 嫌な仕事でも我慢して引き受けなければ生きていけない
  • 自分には他にできることなど何もない
  • 今の職場を辞めたら他に雇ってくれるところなどない
  • 多少の我慢はして忍耐できるのが大人

これらはすべて生きてくる過程の中で刷り込まれたものですが、真実ではあり得ません。その証拠に、これらを言葉に出して唱えたときに、身体の中にどんな感覚が生じるでしょうか?

  • 重く苦しい感覚ではありませんか?
  • 溜息が出てきはしませんか?
  • 無力感や絶望感を覚えたりしませんか?

そのような感じ方があるものは、自分にとって真実ではありません。

自分にとって何かが真実であるとき、それを口に出したときに、身体の底から湧き上がる温かいしっかりとした手ごたえがあるものです。「そうだ、これで間違いない」

気持ちが軽くなり、勇気づけられたり励まされたり感じることが自分にとっての真実なのです。

この場合「恐れではなく自己愛を選べ」という言葉の真意は、劣悪な職場に我慢して勤めるのではなく、自分を大事にしてもっと自分にあった仕事や職場を探しましょうということです。

そりゃ、そうできればしたいよ、でも・・・・・

「でも・・・・・」の後に出てくる言葉が、あなたが持っている思い込みです。

自己愛ベースで生きられるようになるためには、ワークを行ってその思い込みを手放すことが必要です。

実践は簡単なことではない

コロナが襲った今の時世で自己愛ベースの生き方を実践することは簡単なことではありません。

どんな劣悪な条件の仕事でも、何もないよりはマシという人がほとんどでしょう。今度こそは幸せな恋愛をしたいと思っても、気づけば問題のある相手のお世話に奔走している自分に気づくかもしれません。

そして無力感と絶望感と閉塞感に苛まれ、多くの人が心身に異常をきたしています。

恐れベースの生き方から自己愛ベースの生き方へのシフトには、長い時間を要します。特に日本人の場合は10年要すると言っても過言ではないほどです。これは私自身が自分のプロセスを経る中で得てきた実感です。

同調圧力が強く、他との協調性を求められ、右に倣えで生きたい日本人にとって、自己愛ベース(自分軸)で生きることは簡単なことではないのです。つい他者の意見を求めたくなったり、「あなたならどうする?」と聞きたくなるのです。恐れベースへ引きずられるのです。

しかし、それは他者の真似をして生きる生き方なのです。自分の生き方は自分しか決められません。他の人がどうするか、どうしたいかは、自分には関係ないのです。

自己愛ベースで生きるとは、自分を大切に自分を尊重した生き方を選ぶことです。

「恐れではなく、自分に対する愛を選ぶ」生き方への近道はありません。ただひたすら癒し・浄化・統合に今季よく取り組むだけです。

今の時代を生き抜くために必要な「自己愛」については別記事で書きました。合わせてご参照ください。

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