ネットでこんな記事を読みました。
かいつまんで説明すると、
ある会社で、入社初日に遅刻してきた新人がいた。電車の遅延など不可抗力によるものではなく、もともと少し時間にルーズなタイプだったよう。
新入社員が初日で退職を決めた、上司のひと言とは?
社長は彼に大きな期待を寄せていたものの、さすがに初日から遅刻は許されない。少しガツンと言うべきだと考え、「やる気がないなら帰れ!」と彼に伝えた。
言われた当の本人は、なんとその言葉通りその場で帰ってしまった。人事担当者が彼に連絡を取ると、「社長にあんなふうに言われて、僕はすごく傷つきました。僕は言われたとおり帰っただけです。こんなパワハラな会社だとは思っていなかったので、今日で辞めたいと思います」。
社長は本当に期待をかけていて、頑張ってほしいがために言った言葉だったが、新入社員にはただのパワハラと受け止められてしまったという、非常に残念な結果になってしまった。
これ、私から言わせると「どっちもどっち」。
日本人は他者との距離感がおかしい人が多いし、コミュニケーションが支配的で操作的になりがちです。
私自身、日常生活ではなぜかZ世代(20~25歳)の人たちと接する機会がすごく多いのです。
ぶっちゃけ彼らは問題大アリですよ。
- 遅刻する
- 約束を守らない
- 平気で嘘をつく
- 平気で取り繕う
- 過失を認めず責任を転嫁する
- ドタキャン・リスケは当たり前
- やたらと傷つきやすい
- 自分がない
- 口先では偉そうだが実力はない
まぁ、Z世代に限らず、「若さ」とはそういうものです。
私たちもみな通ってきた道。
言うまでもないことではありますが、「なせ遅刻したらいけないの?」という人のために。
「遅刻が絶対ダメ!」というわけではないんです。
時と場合によってはさほど問題にならないことはあります。
ただ、私個人は、悪びれずに遅刻を繰り返す人とは付き合いません。
なぜなら、「遅刻を繰り返す」という行為に相手がこちらを「舐めている」「見くびっている」心の姿勢が透けて見えるから。
私の貴重な時間を大切にするつもりがない人、こちらの都合を尊重するつもりがない人だと感じるからです。
そういう人と付き合いたいと思えないんですよ。
ただ、問題がある彼らに対して、しっかり背骨の通った筋道を立てられる大人が日本には限りなく少ないと感じます。
リンク先の記事では、「どういうコミュニケーションを取れば」Z世代に「より心地よく受け入れてもらえるか」についての指南が書かれていますが、こうしたテクニックは英語では Manipulation(心理操作)と呼ばれ、人間関係では絶対にやってはならないこととして認識されています。
Manipulation(心理操作)とは、「いかに巧みに相手を気分良くさせて、自分に都合よく動いてもらうか」という心理操作術のこと。
相手の人格を尊重している風に見せかけて、その実自分の利害を満たすことしか考えていない利己的な動機に基づいた操作術です。
関連記事:
日本には境界線(バウンダリー)の概念がないために、自分以外の他者を自分の思い通りに動かすことに関して、抵抗感がない人が多い。
この問題はコミュニケーションの問題というよりも、境界線(バウンダリー)の問題なんです。
目次
私情を差しはさまない
「俺が若い頃はこれで奮起した」とか、「期待している」とか、「僕はすごく傷ついた」等の私情を実務に持ち込まないことです。
それは各々の個人的な問題。
職場はあくまでも他人同士が集まって仕事をする場ですから、その立場で、それぞれの境界線を侵害し合わないように筋を通すだけの話です。
境界線を侵害し合わないとは、互いの利害関係をうまく調整し合うという意味です。
新入社員が正当な理由なく遅刻してきたことは会社側にとっては大きな「境界線侵害行為」です。
端的に言って会社側に不利益が生じるという意味。
会社側は毅然とした態度で対処する必要がありますが、やり方が精神論的だったり前時代的だったりしても意味はないわけです。
相手に何かをしてもらう必要があるときは、頭ごなしに命令したり、こっそりと心理操作したりするのではなく、ストレートに「〇〇してください」と「依頼」することです。
すると相手には、「する」「しない」という選択肢ができます。
自分の自由意志を尊重されるということが、人間同士のコミュニケーションでは極めて重要。
社長が犯したミス
>社長は彼に大きな期待を寄せていたものの
自分以外の他者に「期待をかける」ということをそもそもしてはならないことに気づくべきです。
変な執着があるから、「相手が自分の思い通りにならない」ときに憤って「ガツンと」言ってやろうなんて勘違いが出てきてしまう。
社員は社長の持ち物ではありません。
一つの人格を持った人間で、その人の自由に生きる権利があります。
社長の期待に沿ったり、応えたりする義務などそもそもないという事実を、社長はしっかりと弁える必要があります。
日本では、他者による「期待の掛け合い」みたいなものが普通に行われていますが、それは異常です。
> 少しガツンと言うべきだと考え
「一方的で支配的なコミュニケーション」は通用しないということに気づくべきです。
人間同士として、社長として、言う必要があること「だけ」を簡潔に伝えるようにしなくてはなりません。
「遅刻はしないように。職務には熱心に取り組んで欲しい」と言えば済む話。
>「やる気がないなら帰れ!」と彼に伝えた
一発アウト。
意味不明発言もいいところ。
社長は社員に「帰って欲しかった」わけではないですよね。
だったら「帰れ!」などと言ってはいけないことは子供でもわかります。
「やる気」とか「期待」とかのスローガンは要らない。
こんな屈折した暴力的なコミュニケーションしかできないところが未熟なんです。
新入社員が犯したミス
>もともと少し時間にルーズなタイプだった
時間にルーズで遅刻を常習する人をビジネスでもプライベートでも信用する人はいません。
ただ、この致命傷を負って生きていくのはあくまでもこの社員本人です。
そうやって実際に生きて行って、いつかそれが原因で致命的に痛い目をみたとき(何か大切なものを失ったとき)に、「自分の在り方じゃダメなんだ」と気づくのが人生。
他人がアレコレ口出しする問題ではない。
>僕はすごく傷つきました
知るかよ。
ここは保育園や家庭じゃないんだから。
あなたの気持ちはあるだろうけど、社会に出ている以上「甘え」は容認されません。
そんなことを言う前に、まずは「遅刻してすみませんでした」と自らの非を詫びよう。
私が社長だったら社内規定を明文化する
私なら、遅刻や無断欠勤についての規定を細かく就業規定に定めます。
正当な理由なくして寝坊などの理由でしょっちゅう遅刻ばかりされては会社としては機能しないからです。
遅刻は1回ごとに勤怠記録につけ、2回あったら減給〇%などの処分を科す。
〇回遅刻を繰り返した場合は人事より警告文書を発信し、これ以上勤怠が改善しない場合は免職やむなしと通達します。
それから、遅刻や無断欠勤の有無が人事考課に及ぼす影響についても明文化します。
遅刻の常習犯に責任の大きな仕事を任せられないのは道理です。
勤怠の状態がボーナスの金額や昇給率に及ぼす影響についても明文化して定めます。
そしてそれをいつでも誰でも見られるイントラやポータルに社内資料として載せておきます。
もちろん、入社希望者には事前に読んでもらって、同意できる人だけに入社してもらう。
この社員は1回遅刻した訳ですから、勤怠に「遅刻1回」と記録がつきます。
今後も遅刻を繰り返せば、規定通りに運用してその結果を本人が受けるまでのこと。
お互いに自分の立場や方針を明らかにして、そこで合意できる者同士が一緒に働く。
ここに何の恨みも軋轢も発生しません。
労働契約とはその為にあるものですが、日本ではまだまだ境界線(バウンダリー)の概念が浸透しておらず、ここら辺を「精神論」であいまいに濁しているケースが多々あるようです。
はやく日本にも「境界線」(バウンダリー)の概念が浸透することを願います。
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