日本では、感情や気持ちはぐっとこらえて、表面は良い関係を保てる人が大人であるという認識が広く共有されていると思います。嫌なことを言ってくる相手でも笑顔でかわし、やり過ごせる人が大人という認識です。
けれども、それは必ずしも真実ではありません。
それどころか、発達段階が進んでいる人は自分の感情や気持ちをちゃんと尊重して表現でき、毅然とした態度で相手と対峙し、自分の尊厳と境界線を守ることができるものです。
それが本物の大人であるということ。
境界線意識のない日本人
日本人には境界線の意識が著しく欠落しています。
- 自分の身体や容姿に関してアレコレ発言する人
- 自分の持ち物や着ている物をけなしたりケチをつけたりする人
- 頼んでもいないのにアドバイスをしてくる人
- 自分のセクシュアリティを批判する人
- 自分のライフスタイルを批判する人
- 大っぴらに自分の悪口を言う人
- 自分の権利を侵害してくる人
- 大勢の前で自分に恥をかかせる人
- 自分の身体に許可なく触ってくる人
- 自分の持ち物に許可なく触ってくる人
境界線が明確になっている人であれば、上に挙げたような言動をする人にはきちんとNo.が言えるものです。そして、そういう人とは付き合わないだけの分別を持っています。
「あなたは少し太り気味だから、ダイエットした方がいいんじゃないの?」などと自分の身体についてネガティブな発言をする相手に対し、「そんなことを仰らないでください」と言える人が大人。さもなければ、この人とは付き合わないと決めて実行できることが大人なのです。
そのどちらもすることなく、ただ表面上を取り繕って笑顔や冗談でやり過ごしていたり、相手の顔色を伺って迎合したりする人は、健全な男性性が育っていない未熟な人です。
事なかれ主義は未熟さの表れ
- 波風を立てたくない
- 角を立てたくない
- 争いたくない
- 衝突したくない
「事なかれ主義」は子供の処し方です。
本当に自分を尊重して大切にできる人であれば、自分の尊厳を損なうような言動をする相手に迎合したり容認したりすることはありません。しっかりと自分の言葉と態度で自分を守れることが本当の意味での大人です。
それでこそ本物の自尊心が育まれるというものです。
自尊心とは、自分を尊ぶ心のことです。大人な人とは、自分を尊ぶことを知っている人のことなのです。自分をしっかり守るために、自分を害する相手にハッキリとモノを言ったり、不快感を示すことは必要な力なのです。
境界線を越えて自分を侵害してくる相手に対して毅然とした態度を取れない、しっかりとした物言いができない、離れることもできないのであれば、自分が相手に依存している部分があるということです。
屈折して抑圧的な人が多い日本
日本人は本音と建て前を使い分け、表では涼しい顔をしていても、実際にはとてつもない量の鬱憤を抱えている人がほとんどです。溜まりに溜まった鬱憤は体内に蓄積し、はけ口を求め続けます。
友人や家族に愚痴をいうことから始まって、アングラ、各種依存症(酒、たばこ、スイーツ、ギャンブル、セックスや恋愛等)、ゲームやビデオなどのバーチャルリアリティ、スピリチュアルを始めとした現実逃避などへ逃げ込み、3D世界はそうした産業で経済を回しているのが実情です。
日本の自殺率の高さは、日本人が「建て前」を大切にして本音で生きようとしないこと、感情や気持ちを否定した抑圧的な人が多いことと決して無関係ではないでしょう。
私は、日本の人たちがもっと内面的に成長し、境界線の意識を明確にもち、自分のことは自分で守れるだけの健全な男性性を身に着ければ、鬱やその他の病気で苦しむ人は少なくなると考えています。自分の感情や気持ちに正直になれない、相手にハッキリとモノを言えない、自分の尊厳を守ることができないことが、日本人がかくも抑圧的で鬱屈した国民となっている要因の一つだと思うからです。
何も言わずに自分を犠牲にして我慢し、相手に不快感を与えないことが素晴らしいのではありません。それは自分自身に対する冒涜です。そうではなく、自分を冒涜してくる相手に対しては毅然とした態度でNo.を言い渡せるように、成長する必要があるのです。
この認識を持たない限り、日本人の性質は変わらないと思います。
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