英語にコンフォートゾーン(Comfort Zone)という表現があります。
直訳すれば「快適な領域」ですが、日本語では「安全圏」のニュアンス。
私たち人間は、誰しも自分だけの「安全圏」を持っています。
例えば、私の安全圏の一つは、「お金を得るために合わない環境でも我慢して働き続けること」でした。
決して「快適」ではないのだけれど、そうしなければ生きていけないと思い込んでいる。
その選択肢を手放して経済的に困窮するよりも、多少ストレスがあったとしても、我慢してやり過ごしていた方が「安全」だと錯覚していたのです。
コンフォートゾーンとは
今の現状は必ずしも理想ではないけれど、享受しているメリットは手放したくない
それがコンフォートゾーンの概念です。
共依存の人にとって、
- 他者の世話を焼く
- 自分を犠牲にして相手の役に立つ
- 相手の顔色を読んで迎合する
などがコンフォートゾーンです。
普段の自分は自己価値を感じれられず居場所がないと感じているので、共依存的な行いをすることで、かりそめの「安心感」と「自己価値感」を得ていたいのです。
他者からの頼み事に対して No. と言わないことで処世を図ってきた来た人にとっては No. と言わないことがコンフォートゾーンです。
相手の依頼を断って居たたまれない思いをするくらいなら、いい顔をしておいた方が「楽」なのです。
この「楽」は「怠惰(lazy)」のニュアンスで、必ずしも自分にとって益となるものではありません。
むしろ、長く続けば自分にとって害となり得る類のものです。
しかしそれに目を瞑り、いつまででも惰眠を貪っていようとするのがエゴです。
自分の殻を破って一歩踏み出せば、必ず「居心地の悪さ」を感じます。
なぜならそこはもはや「慣れ親しんだ安全圏」ではないからで、人はそれを怖れるあまり延々と安全圏内に留まることを選び続けます。
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コンフォートゾーンは「快適」とは限らない
「コンフォートゾーン」だからといって、そこに留まることが「安全」や「快適」というわけではありません。
むしろ、そこに留まろうとすればするほど行き詰まり、無理やりそこから押し出されるのが今の時代の流れです。
なぜなら、安全圏の中に留まっている以上、人は成長も発展もないからです。
宇宙の本質は進化と拡大です。
この宇宙にあって、進化・拡大せずに済むものは一つもありません。
もしも変わらずにとどまるものがあれば、自然淘汰されていきます。
2020年に公開された映画「ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-」では、アルコール依存症の貧しい母を持つ青年もとに、「母親が薬物をオーバードーズして病院へ運ばれたと」連絡が入ります。
彼は苦学の末に名門イェール大学の卒業を控え、連絡がきた日は、大手弁護士事務所の就職試験を受ける数日前でした。
子供の頃からずっと母親の世話に明け暮れたり、母親が起こす数々の不祥事の尻ぬぐいをさせられてきたため、青年は重度の共依存を患っています。
今回は、青年が貧しく気まずい過去を断ち切って、新しい人生を扉を開ける大きなチャンスが目の前にあります。
青年は、いつも通り母親の元へ駆けつけますが、就職試験はどうするのでしょうか?
興味がある方は映画をご覧になってみてください。
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コンフォートゾーンに留まることの弊害
No.と言えず相手に合わせてばかりいる人は、体内に解消できないストレスや鬱憤を大量に抑圧しています。
一度発生したエネルギー(不満やストレス)はしっかり表現し尽くして昇華するまで、消えて無くなったりはしません。
身体の中にたくさんマイナス・エネルギーを貯めているのに、それをストレートに表現しないので、受動的攻撃(Passive-Aggressive)になります。
ダイレクトに自己主張するかわりに、職場を無断欠勤したり、相手の前で泣き出したりして、遠回しに自分の言い分を相手にわからせようとするのです。
こうした機能不全の言動パターンは、周囲に様々な問題を生み出します。
コンフォートゾーンに留まり続ける限り、「負」の部分も必ずついてくるのです。
人間が成長するためには脱皮する必要がある
芋虫は、そのままの状態では蝶にはなれません。
半年以上も「蛹(さなぎ)」になる期間を経て、芋虫の形態を脱ぎ捨てて、蝶へと変容するのです。
小学生用のランドセルを背負ったまま中学生にはなれません。
中学校での授業に、小学生の頃使っていたノートを持って行ったりはしません。
子供の頃に気に入っていたコートを大人になってまで着ることはできません。
成長とは、そのときそのときで、「今まで大事にしてきた何か」を手放し、その代わりに新たな環境の中へシフトしていくことを指します。
- 仕事
- 住む場所場所
- 付き合う人たち
- ライフスタイル
- 身に着けるもの
- 価値観や意見
- など
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人生のありとあらゆる要素は、成長とともに常に変化していくものです。
変化することを恐れ、慣れ親しんだものを放すまいと「安全圏」にしがみ付けば付くほど、変化も成長もない生き方にならざるを得ません。
もちろん、それはそれで構わないのです。
ですが、今の時代のエネルギーの流れは、私たち人間が安全圏に留まることをこれ以上容認しないように感じられます。
私自身のこともさることながら、何十年も安全圏に留まっていた身近な人たちが、今、否応なく安全圏から押し出され、変化を受け入れることを余儀なくされているのを目の当たりにしてきました。
変化を受け入れ一歩を踏み出すか。
それとも今までの場所にしがみ付きながら生きるのか。
自分の選択次第です。
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