ありのままの自分を受け入れて愛することと、自分の欠点をそのままにして現状維持に甘んじることとは、まったく別のことです。
この二つをしっかりと区別しておかないと、アセンションのプロセスにおいてあらぬ方向へ進んでしまう場合があるので注意が必要です。
「ありのままを受け入れる」とは
「ありのままを受け入れる」とは、生まれ持った個性で努力では変えられないことをそのまま受け入れて肯定することを意味します。女性性が司る力で、無条件の愛と呼ばれるものです。
勉強ができてもできなくても、食べられない食材があっても、スポーツができてもできなくても、背が高くても低くても、外向的でも内向的でも、とにかく「あなたがそこにいてくれるだけでいいの」という母性で抱かれるような感覚が「ありのままを受け入れる」ことです。
私はほぼ完全インドア派で、室内で過ごす時間が圧倒的に多い人です。もちろん外出もしますが、必要がなければ家から一歩も出ずに過ごして何ら問題ありません。逆に、アウトドア派の人のようにキャンプやハイキングに行きたいと思いませんし、外出が続けば疲労が蓄積してストレスとなってしまいます。
この場合、「自分は完全インドア派である」事実をありのままに認め、「そのままで良い」と100%肯定できることが「ありのままを受け入れる」ことです。
また、世の中には社交的な人と内向的な人がいて、世間では社交的な方が良いかのような価値判断がありますが、内向的であってまったく問題ないのです。生まれ持った性質ですから、努力して「社交的にならなければ」と思うところに苦しみが生じます。
そんな努力などせず、内向的な自分をマルっと肯定できることが「ありのままを受け入れる」ことです。
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「甘え」とは

例えば、養育過程において共依存に陥り、自己不在のまま他者がいないと自分を認識できない人がいるとします。共依存に陥ってしまったことはこの人のせいではありませんし責められるべきことではありません。
しかし、共依存が原因で自分や他者に悪影響が出ている場合、自分の問題を克服する努力をせず、現状に甘んじて「そのままでいたい」と思うことは、単なる甘えにすぎません。「私に問題があるのはわかってる。でもそれは私のせいじゃないの。周りの人はそれを受け入れるべき」と言っているのと同じなのです。
これは「父性の欠如」がもたらす一種の自堕落(self-sabotage)で、自分の責任を負おうとしない負(マイナス)の女性性とも言えます。
自分自身の痛みに真摯に向き合い癒す努力をしなければ、いずれかの時点で人生が行き詰ります。その時に大きな痛みを感じますが、その痛みこそが今まで向き合おうとせずに逃げ続けてきたインナーチャイルドの痛みなのです。
ハリウッド女優のデミ・ムーアは、16歳で機能不全の母親から自立して以来一人で生きてきたといいます。しかし、結婚・離婚・再婚を経る中で典型的な共依存を発症し、一時期は3人の娘たちから絶縁されたほどだったそうです。娘たちはデミの言動に深く傷つき、自分を癒すのに長い時間を要したと語っています。
長い間自分の痛みの責任を負う事なしに共依存へ逃げ続けた結果、デミの人生は50を目前にして崩壊します。再婚相手のアシュトンは若い女性と結婚するために自分から去り、3人の娘からは絶縁され、女優としての仕事のオファーもなくなってしまったのです。
人生が底を打ったとき、初めてデミは「自分に取り組まなくては」と思ったのだそうです。
人には誰しも弱点や欠点があるものですが、弱点は補い、欠点はできるかぎり直す必要があるものです。自分の欠点を見て見ぬフリをして放置すると、人生の後半において手痛いしっぺ返しを自分が受け取ることとなります。
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自己肯定と甘えの違い
自分の欠点を克服する努力をすることは簡単なことではありません。多くの人は巧妙なすり替えを行ってここをすり抜けようとするのです。
「自分には世間知らずなところがあるけれど、それはそれでいいの」と開き直って学ぼうとしない姿勢を持つ人は大勢います。これは、ありのままの自分を受け入れて愛することではなく、現状維持の甘えに過ぎません。自分を愛して人間として成長していけるためには、真摯に欠点と向き合い、克服していけることが必要なのです。
本当の意味で自分を愛するとはどういうことは E-Book に まとめていますのでご参照ください。
ツラいかもしれませんが、痛みを感じるのはほんの一瞬です。数分だけ痛みを感じれば、傷は跡形もなく癒えてしまいます。それからは痛みを恐れたり逃げたりする必要はもうなくなるのです。
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