「我慢」と「忍耐」は似ているようでいて、違います。
我慢は人の良さを損ねます。
一方、忍耐は人生を豊かにするために必要な力であり、かつ人を磨きます。
我慢は今すぐに辞める必要があること。
忍耐は長い時間かけて培っていく必要がある力です。
この記事では「我慢」と「忍耐」の違いを解説していきたいと思います。
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目次
我慢とは
我慢とは、本当はやりたくないことを嫌々やっていたり、自分の本音を押し殺して建て前を優先していたりする状況のことを指します。
- 頭が痛いのに我慢して仕事を続けた
- 本当は仕事を辞めたいけど我慢して続けている
- 本当は親元から離れたいけど我慢して同居している
- 本当は欲しいものがあるけど、我慢して買わないようにしている
- 靴の中に小石が入っていたいのに我慢して履き続けている
我慢とは、こうしたナンセンスを指す言葉です。
私は、どんな方にも「我慢はしないで」とお伝えしています。
我慢はエネルギー的なブロックとなって停滞を生み出します。
私たち人間は、自分の本音に従ってやりたいことや欲しいものに向かって真っすぐに向かっている時が一番自然な状態。
そういう時には物事がスムースに行くものです。
逆に、自分の本音をなかったことにして周囲や相手に合わせたり、目立たないように、長い物に巻かれるような生き方をしていると、性格が卑屈で僻みっぽくなっていきます。
簡単に言ってしまうと「素直さがない」。
我慢ばかり強いられて生きてきた人が、老いたときに性格的な問題を多発させるのは、長い間に蓄積した不健全なエネルギー(愛情不足、不満、恨み、怒り等)が表面へ出てくるからです。
忍耐とは
一方「忍耐」とは、「我慢」とは本質的に異なるエネルギーです。
「忍耐」は、自分にとって益となり得る力です。
何かを求めるときにすぐにはそれが手に入らない状況があります。
例えばピアノを上手に弾けるようになりたいと思ったとしても。
その状態が実現するまでには、長い時間と工数がかかるでしょう。
赤バイエルから始めて段階を踏んで進み、5年、10年と練習と経験を積み重ねるうちに、やがて「上手に弾ける」という状況が実現する。
その時間を耐えて待つことができる力。
それが忍耐力です。
「忍耐力」は、「忍耐する」経験を通してしか培われません。
現代に生きる我々は、忍耐力が著しく欠如しています。
注文すれば翌日届くネットショッピング。
即時ダウンロードできる数々のサービス。
最近では老いも若きも、「まったく努力することなく結果だけを欲しがる人」が急増しています。
忍耐力がゼロなのです。
何かを手に入れるために、小さなことを積み上げられる力。
中長期的視点で物事を捉えられる力。
目の前にあるメロンを、あと3日、熟すのを待てる力。
この3日間を待てる力が忍耐力なのです。
自分の希望や欲望を胸の中で「温め続けられる力」とも言えます。
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忍耐力を養うために必要なスパン
物事を見るスパンは3種類あります。
- 短期的スパン
- 中期的スパン
- 長期的スパン

短期的スパン
一つ目のスパンは「短期的スパン」で、「今」とか「今日」とか「今週」あるいは「今月」「来月」辺りを目途にしたスパンです。
例えば、今必要なものを買いに行ったり、必要な医療を受けたりすること。
もしくは、来週のデートのために服を買ったりすること。
今食べたいものを食べたりすること、今必要な仕事を探した入りすること、2か月後に控えている誕生日会の準備をしたりすることです。
「満足」という軸で見た場合、例えば「今」お腹が空いているのであれば、「今」食べることによってしか得られない「満足」があります。
「今」お腹が空いているのに、「今お腹が空ているから、3日後にたっぷり食べよう」ということは基本できない。
それが「短期的スパン」でしか得られない種類の「満足」になります。
「今満たす必要があるもの」
常にこの視点でしか物事を見られない人は、忍耐力がありません。
もしも「今」この瞬間「したい」ことができなければ、「我慢」することになります。
中期的スパン
二つ目のスパンは「中期的スパン」。
時間軸にして1~5年あたりを目途にした物事の捉え方です。
例えば、大学合格を目指して受験勉強に取り組む場合。
今日した勉強が明日何かの役に立つという訳ではない。
来月の試験のためでもない。
4年後に控えた志望校合格を見据えた中期的な取り組みという視点です。
学力とは一朝一夕で身につくものではなく、中長期的な継続的な積み重ねによって育んでいく種類のもの。
それが何年か積み重なった時に、十分な力として「自分を満たす力」を発揮するわけです。
もう一つ例を挙げるとすれば、5年後を目途にして結婚資金を貯めるという場合。
自分が希望する結婚生活をスタートさせるのにかかる資金を事前に計算し、中期的な貯蓄計画を実行するということです。
中期的な視点を持つときに、私たちは普段の生活やこれからの人生設計に「方向性」を見出します。
ただのんべんだらりと日一日を送るのではなく、しかるべき目的地を見据えた上で、一歩一歩そこへ近づいていくイメージ。
これがいくつか積み重なることで、最終的には人生に大きな流れと方向性が生まれてくるわけです。
中期的な視点で物事に取り組めるためには、忍耐力が必要になります。
長期的なスパン
最後は長期的なスパン。
時間軸にして10年以上の視点を指します。
これは人によっては視点が長すぎると感じることがあるかもしれません。
例えば、今15歳の人が15年後に30歳になったときにどうなっていたいのかを考えることは、少し視点が長すぎてピンと来ない可能性がある。
一方、今50歳の人が60歳になったときのことをイメージするのは、比較的簡単です。
今の自分の立ち位置で、イメージがピンボケしない程度の中長期的スパンを持てると、人生の方向性が定まりやすくなります。
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