今ほど、表現の自由が言われる時代はかつてなかったと思います。
インターネットの発達とスマホの普及に伴い、過去には一部の人たちだけのものだった「自己表現」が、ごく身近に一般的に行われるようになりました。
今では誰でも簡単に発信ができる時代です。
それに伴い、「表現の自由」に付随する「責任」の問題もクローズアップされてきています。
自己表現とその自由とは、他者の権利と安全を侵害しない範囲でのみ許されるという認識です。
私自身、自分が表現したいことと、私の自己表現が他者の権利を侵害しないように配慮することは、常に意識を向ける課題となっています。
自分のメディアを持って発信している側であるし、日常生活においても、自分の権利の主張と相手の権利を尊重することのバランス感覚を身に着けることは、簡単なことではないと感じてきました。
今でも試行錯誤しながら進んでいるというのが実情です。
ルールや規則は発達段階が低い人たちのもの
世間では「ルールを守りましょう」「マナーです」等言われますが、そもそもルールや規則や法律やマナーといったものは発達段階が低い人たちのためのものです。
発達段階が高く内面が成熟している人であれば、ルールや規則や法律がなくても、自然と自分と相手を大事にできる力があります。
高いレベルでの倫理観やモラルを自然と体現できるのです。
歌うことが大好きで「歌唱」こそが自分の表現方法だと思っている人でも、夜中の1時や2時に大声で歌えば周り近所が迷惑に感じるだろうと、慮るだけの力があるのです。
他者の権利や安全を侵害しない範囲において自己表現を楽しもうと思える。
それが内面が大人な人の特徴です。
ですが、未成熟な人は「私は歌いたいんだから、いつでもどこでも歌う」と、そこに他者へ対する配慮が入る余地がありません。
子供っぽい自己中心性や身勝手な部分が残っているのです。
こういう人たちをある程度統率するために「〇時すぎは静かにしましょう」といったルールや規則が作られるわけです。
自分と相手を同時に大切にできるバランス感覚を磨く
近年では、ネット上の心無い一言が他者に及ぼす影響の大きさが注目されています。
芸能人が何気なく店の批評をブログに書いただけでも、店側の名誉を棄損していると問題になります。
自分が感じた日常的な感情や気持ちをありのままに表現することが、他者の名誉を棄損したりプライバシーを侵害したりすることにあたると、多くの人は気づいていないかもしれません。
本来ならば人のいないところでそっと伝え合うべき事柄を、いきなりネットで公開してしまう。
こういうところに現代を生きる我々が抱える問題と課題があるように私には思えます。
昔はもっと人と人とが適切な関係性でコミュニケーションを取っていたけれども、今は「ネット」という媒体があるために、より間接的で暴力的な形に傾いてきていると感じるのです。
相手の名誉を棄損したりプライバシーを侵害することなく、穏当な表現で、自然で正直な気持ちや感情を表現すること自体は大いに結構なことです。
むしろもっと積極的にやらなくてはならないと思います。
私たちは、相手の権利や安全を侵害しない範囲で、ありのままの自分に嘘をつかずに表現できる力を磨いていく必要があるということです。
これは境界線の課題なのです。
参考商品:
健全な批判と批評は必要
健全な批判や批評をなくせと言っている訳ではありません。
私たち人間が進化・成長・拡大できるためには、前向きな批判や批評ができるだけの健全な表現の自由が確保されていなくてはなりません。
多くの人は、商品やサービスを購入する際に、口コミやレビューを参考にすることでしょう。
社会で横行している様々な不正を見逃してはならないし、自分が働く企業が都合が悪いことを隠蔽しようとしているのであれば、それを告発することは守秘義務違反にはあたりません。
健全な批評機能が失われた社会が腐敗の一途をたどっていくことは、隣国を見れば明らかでしょう。
私が長年暮らした香港では、表現の自由が失われあからさまな言論統制が行われ始めました。
民主主義が失われ社会が後退した稀な例です。
声を上げることの重要性
以上書いてきたことを踏まえて、相手の権利に配慮しながらも、私たちはもっと自分の声を上げなくてはなりません(Have your voice!)。
- 自分が何かしらの被害に遭っているとき
- 理不尽な扱いを受けているとき
- 不正を目撃したとき
- 一方的な攻撃を受けているとき
勇気をもって問題行為を告発したり、自分の被害を公表したりすることが必要です。
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レイプ被害に遭った女性が逆差別に合うなど、日本ではまだまだ被害者に対する保護意識が低いという問題があります。告発しても自分が嫌な思いをするだけなので、黙って泣き寝入りする人が多いのです。
ですが、それでは社会は変わりません。
自分の被害を告発することは簡単なことではありませんが、勇気をもって声を上げることが今とても求められていると感じます。そして、そういう人たちを支援・サポートする取り組みが急務です。
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