多くの人は自分の内面にしっかりと向き合った経験を持たないために、内面に満たされない「幼児的願望」を残したまま大人になります。
たとえ肉体が60歳でも70歳でも、中身は小さな子供のままであるケースが多々あります。そのことに自覚がある人はごくわずかで、大部分の人は自覚がないままに生きています。
肉体だけが大人で内面が子供な人は、歳を取るにつれ内側と外側のアンバランスさが外見にも表れるようになります。いくつになっても子供っぽい話し方や声やしぐさ、言動も大人げなく他者とべったりと癒着することを止められません。
愛情飢餓を残したまま大人になった場合
内面に癒されていない「幼児的願望」や「幼児的な甘え」があると人間関係の摩擦を起こし、ことあるごとに「心の痛み」が刺激されます。そして、 「小さな子供」の欲求 をそのまま表現することが「自己表現」であると勘違いしてしまうケースがあります。
- 私の気持ちわかって欲しい
- 私を認めて欲しい
- 私に共感して欲しい
これはかつて子供だった頃の自分が、養育者から満たしてもらえなかった基本的欲求と呼ばれるものす。
ここが満たされないまま大人になると、他者(パートナーや友人や自分の子供たち)にこの欲求を満たしてもらおうと無意識の言動を繰り返してしまいます。
しかし他者は親ではないので、こちらからの要求に100%答えられるわけではありません。この世には、こちらを100%満足させられる人など存在していないのです。
とくにひどいケースは親が子供に愛情を求めてしまうものです。本来であれば子供に愛を与えてあげるべきである親の愛情飢餓が癒えていないので、「お母さんの気持ちわかって」「お母さんを労わって」と、子供に親の役目を要求してしまうのです。
そのことに自覚がない未熟な親が大勢います。
インナーチャイルドを癒すことが先決
幼児的願望が満たされないまま大人になってしまうと、自分にも周りにも甚大な害を及ぼします。したがって、「愛情飢餓が満たされていない」という自覚が芽生えたなら、できるだけ早くインナーチャイルドを癒した方が良いでしょう。
インナーチャイルドを癒すセラピーは、心理カウンセラーやセラピストのところで行ってもらえます。腕の確かなセラピストを見つけ、二人三脚で定期的にセラピーを受けながら数年間取り組めることが理想です。
幼児的願望はセラピーの中で癒す
基本的欲求の表現はセラピーの中で存分に行うことであり、日常生活で他者にぶつけるものではありません。
健全な大人はその分別がありますが、内面に幼児的願望を残したままの人は大人の分別を持つことができません。内面に癒えていない子供の部分が残っているために、つい他者を使って自分の欲求を満たそうとしてしまうのです。
そして、それを叶えてくれない相手に敵意を抱いたり責めたりしてしまいます。このようなことを繰り返しているので、人間関係は問題に満ちたものとなりがちです。
本来的には自分の欲求は自分で満たすものです。健全な大人はそれをする力があります。
ですが、インナーチャイルドがしっかりと癒えていないうちは、他者を自分の感情処理の道具として使ってしまいます。なぜなら幼い子供はまだ自分で自分を満たすことはできないからです。
セラピストの指導を受けながら何年かセラピーを続けるうちに、次第に自分で自分を満たせる大人へと内面が成長していきます。するともう他者に依存しなくても済む自分へ変化することができるのです。
毒親になるケース

インナーチャイルドがしっかりと癒えないまま生涯を過ごす人は、何歳になっても中身は子供のままです。
たいていの人は自分の痛みを直視することができず、自分の問題から目を背けて逃げ続けます。そして自分の子供に痛みを連鎖させてしまうのです。
自分自身が大人になりきれない親は、必ず子供を犠牲にします。
これに例外はありません。
親に盾突かない子供なら身も心も病んで共依存になりますし、自己主張が強い子供ならアダルトチルドレンとなります。
多くの人は、「手のかからない子は良い子」と思うかもしれませんが、「手のかからない子」が一番問題なのです。本来子供とは必然的に手がかかるものです。それなのに手がかからないということは、子供が早い時期に(未熟な)親には頼れないと本能的に察知して、「自立」を演じることで居場所を確保して生き延びようとしているだけなのです。もちろん本人にそのような明確な自覚はありません、すべてが無意識のうちに行われることです。
子供は親の感情処理の道具ではありません。ですが、多くの親は自分が精神的に自立できていないために、子供に依存せざるを得ないのです。
自分が親から引き継いでしまった痛みを次世代に連鎖させないためにも、自分の愛情飢餓の癒しに取り組みましょう。
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