憧れの人 -私たちは皆つながっている-

最近、他の人の人生の話を聞いたり読んだりして感じることが変わったと感じます。

10代20代の頃は、他の人の生き方や生き様を見たり聞いたりして「羨ましい」と思ったり、自分とは違う別の人の人生として、自分から完全に切り離して捉えていたように思います。

でも最近は、他の人の人生を見聞きした時に、「みんな(私も)同じなんだ」と思うようになった

嫉妬と偏見

私自身は無自覚でしたが、私は長いこと内田也哉子さんに嫉妬していました。

女優の樹木希林さんとロックンローラーの内田裕也さんに私と年が近い一人娘がいることを知ったのは、私が二十歳くらいのときだったように思います。

也哉子さんは小学校からインターナショナルスクールへ通い、中学でNYへ留学、高校はスイスへ進学したと何かで読みました。

私自身がアメリカのミズーリ州の大学へ留学していたとき、日本人の留学生仲間が休暇でNYまで遊びに行って、帰って来てからこんなことを言いました。

「NYで顔を出したパーティーに、モックンが来てたよ。奥さんがすごく素敵な人で」

「也哉子さんのことだ」とすぐにわかった私の第一声は、「だって、あの人すごい箱入り娘じゃん」でした。

今なら嫉妬していたとわかりますが、当時の私にとって、お金の心配や苦労をすることなしに留学を沢山して、19歳の若さで本木雅弘さんのような素敵な男性と結婚した也哉子さんは、「楽して生きているズルい人」に見えていたのです。

1990年代の私にとって海外へ留学することは大きなことで、決して裕福ではない我が家では、私の留学費用を巡って何度も大喧嘩が勃発したり、家族会議が開かれたりしてしたのです。お金さえ潤沢にあれば、もっと人生が楽になるのにと思っていました。

だから、そういう苦労なしに子供の頃から海外を渡り歩いていた也哉子さんは、私にないモノを沢山持っている恵まれた人に違いないと思っていたのでした。

也哉子さんの真実

最近になって也哉子さんがご両親の葬儀で語った「家族」についての文を読みました。

日本の芸能界の中でも「ユニーク」な存在だった也哉子さんの父と母。決して「普通の家庭」ではない環境で、両親を理解することだけはどうしてもできないと思っていたそうです。

也哉子さんにとって父親の裕也さんは「分かりたくても分かり得ない人」で、父娘の関係が始まる前に逝ってしまったと。

「なぜこのような関係を続けるのか(なぜ離婚しないのか)」と希林さんを問い詰めたこともあったそうです。

裕也さんが亡くなる少し前に、也哉子さんが生まれる前に裕也さんが希林さんに送った手紙を見つけ、それを読んだときに長年の拘りとわだかまりが胸から消えていったと書かれていました。

『今度は千帆(希林さんの以前の名前)と一緒に来たいです。
結婚1周年は帰ってから2人きりで。

蔵王とロサンゼルスというのも、世界中にあまりない記念日です。

この1年、いろいろ迷惑をかけて反省しています。

裕也に経済力があれば、もっとトラブルも少なくなるでしょう。

俺の夢とギャンブルで高価な代償を払わせていることはよく自覚しています。
突き詰めて考えると、自分自身の矛盾に大きくぶつかるのです。

ロックをビジネスとして考えなければならないときが来たのでしょうか。
最近、ことわざが自分に当てはまるような気がしてならないのです。

早くジレンマの回答が得られるように祈ってください。
落ち着きと、ずるさの共存にならないようにも。

メシ、この野郎、てめぇ…でも、本当に心から愛しています。

1974年10月19日 ロンドンにて 裕也』

産経ニュースより引用

この話を読んだとき、私は涙が止まらなかったのです。出先で読んでいたので、堪えた涙が鼻から流れ出て来て困りました。

若い頃の裕也さんの人間としての葛藤と純粋な気持ち、親の不完全さとそれ故の真心が吐露された手紙を読んで絶句した也哉子さん。

私が望んでも得られないものを沢山持っていると思っていた人々は、私と同じように悩み苦しみ、相手や自分を責めつつ、それでも精一杯に生きているということがダイレクトに伝わってきたのです。

そういえばミズーリ時代の留学仲間が、「モックンが私たちが羨ましいと言っていた」と教えてくれたことを思い出しました。

その頃の私たちはミッドタームファイナル(大学の中間テストや期末テスト)が最大の苦しみでしたが、子供の頃からジャニーズとして売り出された本木さんは、普通の学生が味わう苦悩を経験したことがないと。

だから、「普通の大学生」として生きている私たちが羨ましいと思ったのだそうです。

嫉妬は潜在能力の投影

私はずっと也哉子さんに憧れていたことに気づきました。

若い頃は「ズルい女」と思っていたけれど、それは「憧れ」の裏返しで、私は也哉子さんの中に自分の潜在能力を見ていたのです。

本当は私だってそうしたいけど「できない」と思い込んでいるもの、自分にはなくて也哉子さんだけが持っていると思い込んでいるもの、そういうものを彼女に投影してそれに嫉妬していたのです。

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私が也哉子さんの半生を読んで号泣してしまうのは、私の中に同じものがあるからだと思います。

彼女が語ったのは人類共通の普遍的なことで、変わり者同士の親子が不器用ながらも「奇妙な家族」を演じ、分かり得ない相手のありのままを受け入れたときに、一生分の胸のわだかまりが溶けていった

親の弱さと人間らしさを受け入れたときに、長年の胸のつかえが消えて無くなったと書かれていたのです。

他者の人生の話を読んで自分の人生が癒されることがあります。

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1973年長野県生まれ。約20年に渡り5か国に暮らしながら心理学、形而上学、精神世界を学び実践してきた。2018年に自身の経験をシェアしたブログを開設。現在は国内外のアセンションのプロセスにある人たち、自分らしく生きたいオールドソウルたちの個性化のプロセスをサポートしている。

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