全体主義で和を重んじる文化がある日本では、伝統的に、自分の好き嫌いに従って何かをしたりすることや、自分のやりたいことをやることを、「わがまま」であると捉える傾向が強くあります。
しかし、それは「わがまま」ではありません。
自分の好き嫌いに従って行動すること、やりたいことをやることは「健全な自我」の発露であり、尊重されるべきことです。
日本以外の先進国ではそのようなことは尊重されていて、他者がとやかく口出しすべきことではないとの認識が共通してあります。
「自分軸で生きる」ことは完全に尊重されているのです。
自分軸で生きるとは、あらゆることに関する「答え」や「判断基準」を、自分の中に持って生きる生き方のことです。
自分の行動や自分で選び、その責任は自分が負う覚悟を決めて生きることを指します。
一方「わがまま」とは、他者を使って自分の欲求やニーズを満たそうとすることです。他者を自分の思い通りに動かそうとしたり、相手の自由や権利を認めようとしない在り方のことです。
この記事では、「自分軸で生きる」ことと「わがまま」の違いについて具体例を挙げながら解説していきたいと思います。
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目次
子供を思い通りにしようとする親の「わがまま」
Aさん(男性)の実家は何代か続く商売を営んでいます。両親はAさんに家業をついで欲しいと思っていますが、Aさんは乗り気ではありません。特に「これがしたい」というものがあるわけではないけれど、自分は自分で別の場所で生きたいという欲求があります。両親はそれはAさんの「わがまま」だと言います。特にやりたいことがないのなら、なぜ家業を継ごうとしないのか。それは両親に対しても先祖に対しても失礼なことだというのです。Aさんは両親に反論できませんが、ずっとモヤモヤしたものを抱えています。家業を継ぎたくはない、でも自分にはコレといったものがない。家業を継ぎたくないと感じる自分は親が言うように「わがまま」なのだろうか。
言うまでもなく、「わがまま」なのは親の方です。
私たち人間は誰しも、自分の人生を自分の意志で自由に生きる権利があります。
たとえ今は「どう生きるか」が分からなかったとしても、手探りで探りながら迷いながら、自分の足で人生を生きること自体に意味があるのです。
自分の道を見つけるまでに40年50年かかることもザラにあります。
最初からわかっていなくても、それを求めて自分の意志で生きることが大きな人生経験となっていくのです。
その人の人生を尊重せず、親の思い通りに生きてもらいたいと一方的な欲求を押し付けるのは、未熟な親の「わがまま」に過ぎません。
Aさんが家業を継がないことで店を畳むことになっても、仕方がないと受け入れられるのが成熟した人の在り方です。
自分の子供だからと言って、人格を持った一人の人間として尊重しなくてはならないという意識が、親の中で欠落しているのです。
子供は親の所有物ではありません。
一個の「人」なのです。
相手を尊重して自分のわがままを控えるのは親の方です。
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自己実現の欲求を認めること
Aさんが持っている「自分は自分で別の場所で生きたいという欲求」は、人間として健全で自然なものです。
何一つ否定する必要がありません。
しかし、多くのしがらみや人間関係に翻弄されて、それを真っすぐに認められなくなってしまっている人が多いのが、現代日本の現状です。
正しい認識ができていないのです。
自分の人生をしっかりと生きていない、つまり、ずっと他人軸で周囲に流されて生きてきた人たちは、自己実現的に生きようとする人たちを批判します。
生きたいように生きるなんてことは「わがまま」だと言います。
自分自身が自分に自分らしく生きることを許していないので、他者がそれをしようとすると怒りを感じるわけです。
足引っ張ろうとするわけです。
それをスパイト行為と呼びます。
つまり、性格が悪い。
人間は、自分も本当はそうしたいけど「できない」と思い込んでいることを他者がやろうとすると、嫉妬を感じずにはいられない生き物です。
「わがまま」というのは、自分らしく生きていない人たちが自分らしく生きている人たちを批判するときに使う常とう句なのです。
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わがままとは
「わがまま」とは何かというと、「自分はこうだから、あなたが私に合わせなさいよ」と相手に強要することです。
例えば、「私はこの日しか都合が良くないから、他の人の予定をそこに合わせてください」と要求すること。
これは「わがまま」というものです。
「わがまま」な人はすべてを自分の思い通りに行かせようとするので、相手の自由や権利、意志を尊重することができません。
相手を自分の思い通りに動かそうとありとあらゆる手を使って相手を支配・操作してしまいます。
そして、思い通りになろうとしない他者に敵意を向ける。
「自分らしくあること」と相手を人として尊重することは完全に両立します。
しかし、「わがまま」な人は他者が自分の意のままに動かないと機嫌が悪くなったり怒り出したりします。
これは単なるナルシシズムや幼児性で、「自分らしく生きること」とは区別される必要があります。
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