自分らしく生きることとわがままの違い

自分らしく生きることとわがままの違いが判らずに苦しむ人が多いと感じますので、例を挙げて説明しておきたいと思います。

子供を思い通りにしようとする親の「わがまま」

Aさん(男性)の実家は何代か続く商売を営んでいます。両親はAさんに家業をついで欲しいと思っていますが、Aさんは乗り気ではありません。特に「これがしたい」というものがあるわけではないけれど、自分は自分で別の場所で生きたいという欲求があります。両親はそれはAさんの「わがまま」だと言います。特にやりたいことがないのなら、なぜ家業を継ごうとしないのか。それでは両親に対しても先祖に対しても失礼なことで、申し訳が立たないというのです。Aさんは両親に反論できませんが、ずっとモヤモヤしたものを抱えています。家業を継ぎたくはない、でも自分にはコレといったものがない。家業を継ぎたくないと感じる自分は親が言うように「わがまま」なのだろうか。

言うまでもなく、このケースで「わがまま」なのは親の方です。

私たち人間は誰しも、自分の人生を自分の意志で自由に生きる権利があります。たとえ今はどう生きるかが分からなかったとしても、手探りで探りながら迷いながら、自分の足で人生を生きること自体に大きな意味があるのです。

自分の道を見つけるまでに40年50年かかることもザラにあります。最初からわかっていなくても、それを求めて自分の意志で生きることが大きな人生経験となっていくのです。

子供の人生を尊重せず、親の思い通りに生きてもらいたいと一方的な欲求を押し付けるのは、未熟な親の「わがまま」に過ぎません。Aさんが家業を継がないことで店を畳むことになっても、仕方がないと受け入れられるのが成熟した人の在り方です。受け入れられないのは、親が未熟だからなのです。

自分のわがままを控えるのは親の方です。

自己実現の欲求を認めること

Aさんの「自分は自分で別の場所で生きたいという欲求」は、人間として健全で自然なものです。何一つ否定する必要がありません。

しかし、多くのしがらみや人間関係に翻弄されて、それを真っすぐに認められなくなってしまっているのが現代日本の多くの人たちの現状なのです。

逆に、自分の人生をしっかりと生きていない、ずっと流されて生きてきた人は、自己実現的に生きようとする人たちを批判します。そんなことは「わがまま」だと言います。自分自身が自分に自分らしく生きることを許していないので、他者がそれをしようとすると怒りを感じるのです。

人間は、自分も本当はそうしたいけど「できない」と思い込んでいることを他者がやろうとすると、嫉妬を感じずにはいられない生き物だからです。

「わがまま」というのは、自分らしく生きていない人たちが自分らしく生きている人たちを批判するときに使う常とう句です。

わがままなケース

「わがまま」とは何かというと、「自分はこうだから、あなたが私に合わせなさいよ」と相手に強要することです。

例えば、香港にあった小さな家族経営の日系企業に勤めたときのことです。社長の好意で、「有給休暇や病欠を取らずに皆勤で出勤した人は500香港ドルのインセンティブがもらえる」という制度がありました。

ところが香港人社員のAさんは、「私は毎月一日ずつ有給休暇を取ってリラックスしたい。私だけ500香港ドルもらえないのはおかしいじゃないですか」と異議を唱えました。つまり、Aさんは毎月有給休暇を一日ずつ取りたいし、皆勤のインセンティブももらいたいというのです。

これは「わがまま」というものです。

有給休暇を取りたければ取ればいいけれど、それなら皆勤インセンティブはナシ。500ドルが欲しいのなら有給休暇を取らずに皆勤で出勤する必要がある。二つに一つです。しかしAさんはそのことを理解しようとせず、社長に文句を言ったり500ドルをくれるように抗議したりしました。

「わがまま」な人はすべてを自分の思い通りに行かせようとするので、相手の自由や権利、意志を尊重することができません。相手を自分の思い通りに動かそうとありとあらゆる手を使って相手を支配・操作してしまいます。

「自分らしくあること」と相手を人として尊重することは完全に両立しますが、「わがまま」な人は他者が自分の意のままに動かないと機嫌が悪くなったり怒り出したりします。

これは単なるナルシシズム幼児性で、「自分らしく生きること」とは区別される必要があります。

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1973年長野県生まれ。約20年に渡り5か国に暮らしながら心理学、形而上学、精神世界を学び実践してきた。2018年に自身の経験をシェアしたブログを開設。現在は国内外のアセンションのプロセスにある人たち、自分らしく生きたいオールドソウルたちの個性化のプロセスをサポートしている。

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