無意識のうちに承認欲求の奴隷になって生きているうちは、私たちは自分を生きることはできません。
承認欲求とはよく聞く言葉ではありますが、「他者(周り)から認めてもらいたい」という欲求のことを指します。
食欲や睡眠欲といった人間が健康に生きるために必要な健全な欲求と違い、承認欲求を自覚しないまま生きているとどんどん不幸になっていくという特徴を持つものです。
自分らしく満足度の高い人生を送るためには、自分の中にある承認欲求を正しく自覚してそれを乗り越えることが必要不可欠です。
この記事では承認欲求の具体的な例を挙げながら、どのように承認欲求を手放していけるのかについて解説していきます。
目次
周囲からの期待に応えたい欲求
Aさんの職場はキツイ現場ですが、文句一つ言わずに頑張っています。仕事の覚えが早く理解力も高いAさんは、周囲からの期待も高いです。少しくらい疲れていても決して仕事を休みません。周りから期待されているという自負が、Aさんを前へ進める原動力となっています。そんなAさんのことを周囲の人たちも頼もしく思い、信頼も厚いのです。
これは一見とても前向きな話に聞こえるかもしれませんが、典型的な承認欲求の奴隷の例です。
Aさんは心からこの仕事が好きで頑張っているわけではなく、「周囲の期待に応えられる自分」という自分像の快感の虜になっているだけ。
Aさん自身は「自分はこの仕事が好き」だと思い込んでいますが、「本当の意味でこの仕事が好き」なわけではなく、「この仕事をすることで承認欲求が満たされる快感が好き」なだけです。
そのことに対してまったく自覚がありません。
心身が休息を求めていても「なんのなんの」と誤魔化して無理を続けてしまいます。
少しくらいの疲労で仕事を休んで周りから「骨の無い人」と思われるくらいなら、「少しくらいでは根を上げないAさん、さすがね」と思われた方が気持ち良いからです。
自覚のない承認欲求の奴隷となったAさんは、こうして小さな無理を積み重ねていきます。
長年に渡り積み重なった無理が原因でAさんの心身は徐々に追い詰められ、ある日大きな病気や事故、あるいは何かしらの大きな「リセット」が起こることは避けられません。
承認欲求とコア・ビリーフ

「周囲から〇〇と思われたい・思われたくない」という恐れベースの他人軸で生きていると、自分の本当の声を無視してしまいます。
Aさんは本当に「骨のある人」なわけではなく、「そう思われたい(承認欲求)から演じている」だけ。「周りから悪く思われたくない」という恐れが強すぎて、本音で生きることができないだけです。
なぜ 「周りから悪く思われたくない」 のかと言えば、「〇〇だと思われたら生きていけない」と思い込んでいるから。
自覚はまったくありませんが、潜在意識の中ではそのような観念を握りしめています。
このような観念のことをコア・ビリーフと呼びます。
「周りから〇〇だと思われたら生きていけない」は真実ではありませんが、様々な状況や今までの経緯から、そのように思い込んでしまっています。
コア・ビリーフに雁字搦めで縛られているうちは、相手や全体に合わせてしまう生き方から抜け出せません。
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インナーチャイルドを癒してコア・ビリーフを手放す

承認欲求を乗り越えるためには、まず自分の中にある「恐れ」を直視することが必要です。
人によって「何を怖れているか」は違いますが、根本要因は「見捨てられ不安」です。
つまり、「ありのままの自分では愛されない」という怖れ。
それが、
- 〇〇だと思われたくない
- 〇〇だと思われたい
という欲求になって現れてくるのです。
これに至った背景には社会通念や規範意識の他に、幼少期の過ごし方や養育者たちから受けた影響などがあります。
Aさんの場合、幼い頃より無意識のうちに両親が「して欲しいと思っていること」を忖度し、それを満たすことで親の愛情を得てきた経緯があります。
つまり、「親にとっていい子」で在り続けないと、愛情はもらえないという条件付けが幼少期に置いてすでになされていたのです。
これがAさんが周囲の期待に応えたいと無意識のうちに頑張ってしまう根本メカニズムです。
変化の王道は、インナーチャイルド・セラピーを受けて幼少期に受けてしまった心の傷を癒しつつ、コア・ビリーフを手放すプロセスを経ることです。
心の傷を癒しながら、自分がなぜそのようなコア・ビリーフを持つに至ったのかを知的に理解した上でその妥当性を徹底的に疑うことで、少しずつ観念を溶かしていくのです。
このプロセスを経ることで、周囲からどう思われるかを怖れることなく自分を大切にして生きられるように変化していきます。恐れに駆られて他人軸で生きる生き方から、自分を大切にする自分軸の生き方へとシフトしていきます。
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