全米に衝撃を与えた若き共依存カップルの事件をひも解く-魂の癒しが反転したとき-

今回ご紹介するのは、2021年9月、全米に衝撃を与えたある殺人事件です。

この事件をシェアする理由は、「殺人事件」は特別な人たちだけの事件ではなく、人間であれば誰でも遭遇し得るものであることを伝えたいこと。それから、報道されていることと本当の姿は恐らく違うであろうことをお伝えすることです。

ギャビー・ペティートの失踪と殺人

昨今、世界中で、中古車を買って自分の手で改造を加えてキャンピングカーを作り、それに乗ってアメリカ全土やヨーロッパ中を旅してまわるライフスタイルがブームとなっています。

YouTube上にはそのような女性たちの動画が溢れ、今回ご紹介するアメリカ人女性ギャビー・ペティート(Gabriele Petito)もそんなうちの一人でした。

22歳のギャビーはドラッグストアの店員として働きながらお金を貯めてバンを買い、高校時代に出会った婚約者のブライアンと共にアメリカ横断の旅へ出かけます。

2021年7月にフロリダを出発したギャビーとブライアンは頻繁にSNSや YouTube を更新し、旅の一部始終をシェアしていました。

ギャビーが消息を絶ったのは8月末。ワイオミングからフロリダへ一人で戻ったブライアンにギャビーの居場所を尋ねてもブライアンが答えることを拒否したことから、彼はこの事件の重要参考人として聴取されることとなりました。

様々な憶測が流れ捜査が行われました。ギャビー失踪のニュースは全米の関心を集め、オンラインで様々な目撃情報が寄せられました。

9月19日に、ワイオミング州の国立公園の森の中で「ギャビーの残滓」が発見されたと報道されました。死因は絞殺、殺人であると断定されました。

ブライアンは9月中旬に失踪したまま行方不明になっています。

報道から見えることと共依存の真実の違い

アメリカで行われている報道では、「良い人そうに見えたブライアンが実は殺人鬼だった」ようなニュアンスで語られています。「ブライアンと一緒だから大丈夫だと思った」というギャビーの母親のコメントが流され、「ブライアンがギャビーに暴力を振るっていた」、「ギャビーはそれに耐えてブライアンを庇って警察に嘘の証言をしていた」という論調が主流です。

しかし、警察のカメラがとらえてたギャビーのインタビューを見たり、警察の調書を読み込んでいくと、それとは少し違う真実が見えてくるのです。

8月12日。ユタ州のモアブという街で市民から通報あり。「目撃したカップルの男性の方が女性を引っ叩いているのを見た」。二人は激しく口論していたが、その後車で走り去った。この二人はギャビーとブライアンであったことが確認されている。

車の助手席で激しく泣きじゃくるギャビーを見つけた警官が職務質問をした。「個人的な問題でちょっとシンドイだけです」と答えるギャビー。彼女はひっきりなしに涙をぬぐい、鼻をぬぐい、手で膝をさすりながら落ち着かない様子で質問に答えていた。ギャビーはブライアンとずっと喧嘩していると話した。原因は、ギャビーの潔癖症。ギャビーには強迫性潔癖症があり、車の中を何回も掃除しないと気が済まない。「つらく当たってごめんなさい、私には強迫性潔癖症があるから意地悪なことを言ってしまうことがあるの」と、ブライアンに謝ったと話すギャビー。後に家族に確認したところ、ギャビーにはそのような潔癖症はなかったとの証言を得る

その後顔に裂傷を負っているギャビーを見つけた別の警官が職務質問をする。「ブライアンが私に「黙れ」と言い続けて、顔を掴んだんです、切り傷はそのときにできた」 。最初にブライアンを引っ叩いたのは自分だと話した。その後警官に、ブライアンと自分を離れ離れにしないように懇願した。ブライアンは「ギャビーは切羽詰まることがある」と話し、ギャビーから距離を置きたいと話した

ウィキペディアから翻訳

ここに載せた調書以外に、「ブライアンがギャビーから距離を置こうと行動し、それをギャビーが阻止する、離れないようにと懇願する様子」が数回目撃されています。

ブライアンは8月にギャビーから離れて一人で飛行機に乗ってフロリダへ戻りますが、数日後にまた飛行機でギャビーのいるワイオミングへ戻って合流しています。

こうした断片から見えてくるのは、極度の見捨てられ不安を抱えた共依存の女性と、回避性の愛着障害を持つ男性との共依存関係です。

二人とも「愛着障害」という同じ傷を抱えていますが、発症の仕方が正反対です。

  • 相手と四六時中一緒にいたい
  • 相手を束縛したい
  • 相手と融合してしまいたいと願う
  • 強迫性の行動障害(潔癖症)がある
  • 相手が自分の思い通りに行動しないと叱咤したり責めたりしてしまう(潔癖症で車の中が整理整頓されていないと逆上してブライアンを責める)
  • 思い通りに動かない相手に暴力を振るってしまう(ブライアンを引っ叩く)

これがギャビーの性癖です。

ギャビーの強迫性潔癖症について家族が「そんなものはなかった」と証言していますが、恐らく家族は「知らないだけ」だと思います。実際にギャビーには強迫性潔癖症があったのだと思う。このようなトラウマに根差す症状は、家族の前では出ないけれども、パートナーの前でだけ出るということが多いからです。

母親は「なぜブライアンとの関係がうまく行っていないことを相談してくれなかったのか」と語っていましたが、パートナーとの癒着関係について赤裸々に親に相談する共依存の女性はいません。

むしろ、親にだけは知られたくないと思う人がほとんどでしょう。魂の傷とは、その人のもっとも深い闇だからです。

両親や家族がギャビーの本当の姿を知っていたわけではないのです。ブライアンしかしらないギャビーの本性があったはずです。

警官がこのままでは危険だと判断し、二人を一時的に引き離そうとした際に「お願いだからブライアンと離れ離れにしないで」と懇願しているのは、ギャビーの見捨てられ不安が発動しているからです。

一方ブライアンは、恐らく幼少期に養育者からの過干渉が原因で、自分にべったりとまとわりついてくる相手に対して恐怖を感じる性癖をもっています。相手が自分に近づけば近づくほど突き放して逃げたくなる。これが回避性の人の特徴です。

ブライアンとしては自分を束縛して小言ばかり言うギャビーにうんざりし、一定の距離を置こうと付き放そうとした結果、ギャビーの見捨てられ不安が刺激され、ギャビーがますます逆上していった様子が想像されます。

しかし表面的には狂暴だったのはブライアンの方で、ギャビーはDVの被害者であったと伝えられています。私はギャビーは本当のことを話していたと思います。

旅が進むにつれてブライアンの性格が凶悪化していった様子が目撃されています(レストランの支配人と口論するなど)が、恐らく長期間に渡り高度なストレスにさらされ続けた結果だと思われます。

最終的にブライアンがギャビーを手にかけてしまった(と推測される)のは、私としては、追い詰められた上の突発的な衝動だと思います。

依存的な人の特徴

英語では Needy とか Clingy と言いますが、Needy は日本語に置き換えるとすれば「かまってちゃん」、Clingy は「しがみつく」とか「べったり」と言う意味の単語です。

ギャビーは見捨てられ不安を抱えた共依存を持つ女性で、相手にべったりとしがみつかずにはいられない「かまってちゃん」だったと推測します。

こういう女性は重いです。

重い女性の相手をするのに疲れ、一人になりたいと願う男性は沢山います。しかし、もしもこの女性と二人きりで数か月に及ぶ長期のバン旅行へ出たとしたらどうなるでしょうか。

私には正直、ブライアンがとても気の毒に思えるのです。

これはブライアンが殺人鬼だから起こった事件ではなく、人間ならば誰にでも起こり得ることであることを、多くの人に知ってもらいたいと思います。

パートナーと二人きりで長旅に出ることの危険性

ギャビーとブライアンは若く美しいカップルで、誰もがうらやむような人生を生きているかのように見えていました。若く未来があり、愛する人と共に自由を満喫しながら冒険を重ねている。

しかし、22歳でパートナーと二人きりで長期の旅に出ることは大変危険であることを私はお伝えしたいと思います。

22歳と言えば、まだ本格的に魂の癒しには取り組んでいない年齢です。

私たちは誰しも、20代~30代の恋愛経験を通して本格的な魂の癒しへと突入します。パートナー同士で魂の傷を刺激し合い、炙り出された痛みと対峙することで癒しが進んでいく。

しかし22歳はまだその入り口に立ったばかりで、危うさを秘めている年齢です。

その年齢で、パートナーと長期間に渡って二人きりになるような「二人旅」を決行することは、大変危険です。

私にも経験があります。25歳のときに、イスラエルで出会った23歳のオランダ人のパートナーと1か月半かけてエジプトを旅して回りました。けれどもこの旅は喧嘩に次ぐ喧嘩の繰り返し、フラストレーションが強く、常に高度なストレスにさらされていたことを思い出します。

それは、二人の人間が24時間四六時中行動を共にしていることから来るストレスです。

それぞれの家を行きあっていたり、同居していても別々に過ごす時間をたっぷり確保している日常生活と違い、二人旅は基本24時間相手と一緒です。その二人がお互いの魂の傷を刺激し合い、過去生から持ち越してきている痛みが炙り出され、修羅場がもたらされます。

普段の生活ならまだ逃げ場があるので少し余裕を持って付き合っていけますが、二人旅では逃げ場がないのです。

だから、若いカップルが二人きりで長期の旅へ出ることを、私は決してお勧めしません

今回の事件は、そのような悲しい状況が積み重なった上に起きた悲劇だと思います。

癒しの道

魂の傷はどうしたら癒せるのか?

それについては今までも書いてきましたが、かいつまんで説明すれば、「トラウマと正反対の経験をすること」です。

つまり、見捨てられ不安を抱えている人であれば、「絶対に見捨てられない」という安全感・安心感を経験すること。付きまとわれる・他者から過干渉される傷を抱えている人であれば、「自分のスペースをたっぷり持てる・放っておいてもらえる」安心感を経験すること。

恋愛の相手に求める資質としては、相手は四六時中自分と一緒にいても大丈夫な人なのか、それとも自分の時間やスペースがすごく必要な人なのかを見極める必要があるでしょう。

セラピーでは時系列で過去の経験を呼び起こしてそこに抑圧している悲しみや痛みを解き放ち、味わい尽くし、表現し尽くすことで傷を癒していきます。

よく「感情を観察している」「俯瞰している」と仰る方がいらっしゃいますが、それでは傷は癒せませんしっかりとプレゼンスを保った状態で感情体に繋がり、自分の身体で感情(痛み)を感じ尽くす必要があります。

これはとてもキツイ体験ではありますが、同時にとても気持ちいい体験でもあります。長年放置された傷と痛みがとうとう癒えていくのですから、最後には解放的なホッとした心地に包まれます。

プレゼンスになる方法は、個別セッションで体験していただけます。

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1973年長野県生まれ。約20年に渡り5か国に暮らしながら心理学、形而上学、精神世界を学び実践してきた。2018年に自身の経験をシェアしたブログを開設。現在は国内外のアセンションのプロセスにある人たち、自分らしく生きたいオールドソウルたちの個性化のプロセスをサポートしている。

お薦めの本

自分らしい人生を創りたい方向け、創造プロセスの手順・姿勢・精神についてわかりやすく解説された良書。

自分をしっかり受け入れて折り合いをつけたい人におススメ。

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