「相手と自分双方を尊重したコミュニケーション」というテーマで記事を書いています。
この記事では、前回から引き続き、「本心を表現する」という切り口から続きを書いていきたいと思います。
本当の気持ちやニーズ
自分のものを断りもなく使われたとき、そこには満たされなかったニーズや気持ちが必ずあります。
断りがなくて悲しい(感情) → 一言聞いて欲しかった(ニーズ) → 自分が尊重されていないと感じた(感じ方) → 悲しかった(感情) → 私を尊重して欲しかった(ニーズ) → 私は尊重されたい(ニーズ)
境界線が侵害されたとき、私たち人間が感じる感情は「悲しみ」、一番大きなニーズは「私は尊重されたい」だと私は考えています。
少なくとも、私自身はその二つが主です。
尊重されたいという基本的欲求が満たされないために不満が生じる。
それ故に、相手に対して責めを向けてしまうわけです。
「相手を責めてはいけない」と自分に言い聞かせるだけでは、不満は解消できません。
自分の「悲しみ」をしっかりと受け止めて感じ、満たされていないニーズがあることを認め、どうしたらそれを満たせるのかを考える必要があります。
そのレベルのコミュニケーションを取るとすれば:
- 黙って私物を使われると悲しくなります。私の物を使いたいときには、一言聞いてくれると、尊重されていると感じられて嬉しい
となるでしょう。
このコミュニケーションでは、自分の感情、自分が求めているもの(一言聞いて欲しい)と満たしたいニーズ(尊重されたい)のすべてが表現できています。
より深いレベルで自分の内面を開示したことになります。
つづく:
本心を表現する
真心とは、自分の本当の心、つまり本心のことです。
真実とは、決して変えることのできないもののことを指します。
上の例に照らし合わせて言えば、「尊重されたい」はかなり深いレベルにある基本的欲求です。
さらに深いレベルで自己探求をしていくと、私の場合、この問いに対する答えはこうなのです:
尊重されていれば、安心してあなたと一緒に居られるから。
つまり、一番心の奥底で、私は相手と「一緒に居たい」という欲求を持っているわけです。
これが決して変えることのできない私の真実の部分で、本心(本望)であると言えます。
「真心」を表現するコミュニケーションでは:
私はあなたと親密になりたいし、安心して付き合いたいと思っているので、気持ちを尊重してもらえると嬉しいです。
となります。
これは自分の心の最奥を開示した最も深いレベルのコミュニケーションであると言えます。
レベルで言えば一番深いレベルで、すべての人に対して行えるものではありません。
関わり合うすべての人に対してこのレベルでコミュニケーションをとろうと思えば、心が疲弊してやりきれなくなってしまうでしょう。
あくまでも、自分にとって本当に大切だと思える人を対象として行う「親密度」の高いコミュニケーションです。
コミュニケーションに悩むときと言えば、ほとんどの場合において、相手に対する不満について伝えなくてはいけない場面だと思います。
相手が自分にとってそれほど大切な相手でなければ話は簡単なのです。
どんな言い方をしたところで、うまく伝わらなければ相手との関係を解消して疎遠になってしまえば済む話。
ですが相手が自分にとって大切な人であればこそ、悩む。
自分と相手を等しく大切にする、そして自分の本心を表現できるようなコミュニケーションが必要であると私は考えています。
シンプルな自己開示
相当しっかりと自分と繋がれている人でない限り、ここまでのレベルで自分の本心を簡単に開示できるわけではありません。
また、インナーチャイルドが癒えていないと、コミュニケーションが苦痛に満ちたものとなりがちです。
そんなときにできる一番シンプルなコミュニケーションは、自分が感じたことをありのままに表現することです。
- 断りなく物を使われて悲しかった
- 尊重されていると感じることができずに悲しかった
このタイプの自己開示の大きな特徴は、主語を常に「私」にしていること。
「自分がどう感じたか」というありのままの事実だけを淡々と言葉にして表現することです。
主語が「あなた」になってしまうと、相手は責められていると感じてしまうので、自己防衛が入ってしまって、コミュニケーションがうまく行きにくいです。
主語を「私」にしてシンプルに事実だけを開示するコミュニケーションでは、相手に対する攻撃が含まれません。
この手の自己開示をしたときに、もしも相手が受け取れないのであれば、それは相手に問題があるということです。
支配欲・コントロール欲を手放す
もっともやってはならないことは、相手を自分の思い通りにしようという支配・コントロールです。
女性は相手に言動に刺激されて不安になりがちで、相手に対して「こうしてもらいたい」「あぁしてもらいたい」と期待しがちです。
特に日本の女性はその傾向が強い。
「あぁ言って欲しい」「こう言って欲しい」「言わなくても察して欲しい」というのも相手を思い通りに動かしたいというのは支配・コントロールです。
しかし、他人は自分を満足させたり、自分の期待に応えるためにいるわけではありません。
相手を自分の思い通りに動かしたいという欲求を完全に手放した上で、自分の中の真実を淡々と開示する。
そのコミュニケーションにおいては、自分と相手は完全に尊重され、安全なスペースの中で自己表現することが許されます。
「安全なスペース」とは、お互いにお互いをジャッジしたり責めたり攻撃したりすることなく、ただ気持ちのやりとりが自由にできる場という意味です。
これは無条件の愛に根差した女性性が担う力で、自分のことをある程度丸ごと受け入れられている人でなければ発揮できない力です。
通常は女性が自分も相手もまるごと包み込むような包容力を見せることで、男性が力強い男らしさを表現できるようになります。
ただし気を付けなければならないのは、女性が自分をしっかりと癒せていないと、自己犠牲をしてまで男性の問題や欠点を受け入れてしまうという点です。
それは共依存です。
女性は自分の癒しにきっちりと取り組み、自己価値感と自己肯定感を育て、自尊心をしっかりと育んだ上で境界線を引く訓練を積まなくてはなりません。
「あなたのことは愛しているけれど、その言動は容認できません」とハッキリとかつ「優しく」伝えられるコミュニケーションが必要となります。
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