20数年に渡る海外生活を終えて久しぶりに日本に戻って来て以来、「日本特有」と感じる数々の性質を目の当たりにしてきました。
その一つに、日本の人たちは自分以外の他者を自分好みに変えようとする、変えてもいいと思っていることがあります。
あるいは、自分以外の他者を自分の思い通りに動かしたいと思う、そしてそれを実行しても良いと思いっている節があると感じています。
比べて私が長く暮らした香港やアメリカや北ヨーロッパ各国では個人主義が浸透していて、相手の領域を侵害しない、相手に自分の領域を侵害させない境界線の概念がしっかりとある人たちが多いと感じています。
日本では、恋人として親しく付き合う場合のみならず、親子関係、友人関係、はてには個人と雇い主との間でも、そのような行為が「当たり前」のように行われています。
個人と雇い主の間で「教育」とか「研修」という名目で行われ、個人の価値観に関わることまで企業側が従業員側に干渉しているケースが後を絶ちません。
しかし、日本文化の中ではそれが本来「してはならないこと」であるという意識が極めて希薄です。
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自分以外の人間を変えられる・変えてもいいと思うのは、明らかなエゴであり越権行為であるという認識をもっとハッキリと持った方がいいし、それに関する啓もう活動がもっと必要だと感じています。
親が子供の性格や人格を否定して自分の思い通りに変えようとすることは、日々の生活の中で日常的に行われています。
- 子供の好き嫌いを認めず矯正しようとする
- 子供の性格(内気やシャイ、人見知りなど)を「良くない」と断定して矯正しようとする
- 子供を他の子と比較してダメ出しして改善させようとする
- 親の思い通りに動かない子供を「わがまま」と言う
- 正直な気持ちを話す子供を「わがまま」と言う
このように育てられた子供(たち)は、自然と同じことを他者に対しても行うように成長していきます。
恋人間で行われる場合には、相手の行動や意志に口出ししたり干渉したり、もっとひどいケースでは「あぁしろ」「こうしろ」と支配したりコントロールしたりします。
相手が自分の思い通りにならないから様々な無意識の言動を繰り出しては、相手を思い通りに操作しようとすることもあります。
本人には自覚がありませんが、自分の思い通りに動いてくれない相手に懲罰感情を抱いたり、相手を責めたくなったり、実際に責めたりします。
これをされた相手は重苦しく感じ、恋愛感情が冷めたり気持ちが離れたりします。
関係を良好に保つための基礎
親子・友人・恋人などの個人同士の関係でも、または個人と雇用主や企業との関係でも、「関係における個人の尊重」の基礎はまったく一緒です。
- ありのままの自分、ありのままの相手を変えようとしない
- 相手と自分の合う部分だけで折り合うか
- 相手と自分の合わない部分を受け入れるか
- 受け入れられなければ別れる(付き合わない選択をする)
基本的なことですが、今目の前にいる相手を変えようとしてはならないことが鉄則です。
今時点で相手の中に「受け入れられない」と感じる要素がある場合、「相性が悪い」ことをしっかりと認識して離れることが大切です。相性の良し悪しは「努力」でなんとかできることではないことを理解しなくてはなりません。
例えば、アウトドアが大好きで休みの度にキャンプへ行きたい人と、出不精で休みの日は家でまったり過ごしたい人とでは余暇の過ごし方がまるで違います。どちらかが相手に合わせない限り一緒には過ごせないわけで、無理が続けばストレスが溜まってしまうでしょう。
この場合は相性の悪さを受け入れて、お互いの違いが問題にならない距離感で付き合うか、それも無理なら付き合わない選択をするしかありません。
この歴然たる事実を受け入れられるようになることが、すなわち成長なのです。
自分自身がしっかり自立できていない人は、一人になるのが怖くて合わない相手にしがみ付いてしまいます。
個人と雇い主の関係も同じです。合わない職場だとわかっていつつもいつまでもズルズルと辞められないのは自分が相手に依存しているから。
相手と健全で対等な関係を築きたいのであれば、自分が自立できていることが最低条件なのです。
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